(前回からの続き)
あらためて上記の各国GDPの推移(出典:世界経済のネタ帳)をみてみると、先述「アベノミクス日本」(2013年[平成25年]~)の大転落をよそに、多くの国々が経済プラス成長を達成しています(・・・って、この間、世界規模の天災とか戦争などがあったわけではないので、まあこれは自然なことではありますね)。なかでも顕著なのが中国で、そのGDPはアベノミクス日本とは対照的に成長率及び増額幅のいずれでも他国を大きく上回っています。そして世界一の経済大国アメリカもまた、中国には及ばないものの、かなりのペースで成長しているように見受けられます。このランキングでトップ2の米中両国の2012年から2018年のGDP増分(ともに4兆ドル台)の合計は9兆1300億ドル超となりますが、これは同期間の全世界のGDP増分(約10兆971億ドル)の90.5%にもなります。このことから、この間―――アベノミクス期間―――の世界経済は事実上、アメリカと中国のわずか2か国の成長によってけん引されたといっても過言ではないことが分かります。
そうなると、米中両国の成長の理由が重要になってきます。そのへんはすでに何度か本ブログで指摘したところですが、やはりアメリカ経済・・・の主柱である同国民の旺盛な個人消費がメインエンジンとなった、ということかと思います。これがアメリカのGDPをプラス成長に導くとともに、中国経済を引き上げる推進力にもなりました。すなわちこの間、米国民の中国製商品に対する需要が急増したおかげで、中国は巨額の対米貿易黒字を享受することになったわけです。そしてこの稼ぎ等を元手に中国は、国内外で大規模な公的投資を展開し、結果としてこれもまた同国のGDP増加につながりました。世界経済のリード役である米中両国のGDP成長の枠組みをざっくりと解説すると、まあこんな感じでしょう。
では、上記で世界経済成長の「おおもと」となる米国民の個人消費はどうしてこれほどまでに活発なのか?ですが、それはこちらの記事を含めて本ブログのあちこちで書いているとおりです。つまり、その原動力は「借金」(≒住宅、学資、自動車、クレカ等のローン)であり、その借金での消費を喚起する異様なまでの低金利環境・・・を演出し続ける中央銀行の緩和的な金融政策(QE)の存在、ということになるわけです。そしてその主役の中銀は米FRB・・・となるのが自然ですが、こちらの記事で書いたように、じつはアベノミクス日本・・・の日銀になります。実際、アメリカの超低金利が日銀によって維持されているのは、こちらの記事で指摘したとおり、日銀がほんの少しだけ金融引き締めを図ったとたんに米長期金利が跳ね上がったことからも推察できるわけです・・・
いっぽう、上記の米個人消費を煽る目的で(?)実施されている日銀のQEつまり「異次元緩和」は、これまたシツコク指摘しているように、わが国では過度の円安ドル高をもたらしました。これが上述のとおり、「日本」が「アベノミクス日本」になって以降の記録的なマイナス成長の元凶となりました。これらを総合すると・・・いまの世界経済は日本の犠牲(≒超マイナス成長)によってプラス成長している・・・ことが理解できるわけです・・・(?)