絶好のチャンス到来!といった感じですね、「売り」の・・・
11月8日の米大統領選挙で、まさか!のドナルド・トランプ氏当選からわずか1か月。金融マーケットはこの間、異様な熱気に包まれています。
まずは為替市場。ご存知のとおり急速なドル高が進行中です。ドル円でみると11月初旬に1ドル約103円であったものが現時点(12/9 )では同115円あまりと、かるく10%以上もドル高円安になりました。円ばかりかユーロなどの他通貨に対してもドルは上昇し、トルコなどの新興国の一部は過度の自国通貨下落を食い止めるためにドル売り為替介入を余儀なくされました。
そして米株式市場ではダウ平均もS&P500も史上最高値付近に達しています。上記選挙前の11月4日と直近(12/9)の数値でみると前者が17,888.28から19,756.85へ、後者が2085.18から2259.53へ、それぞれ10.4%、9.2%もの急速な上昇率を記録しています。ちなみに日本株も急騰中! 日経平均は16,905.36(11/4)から18,996.37(12/9)へ、TOPIXも1,347.04(同)から1,525.36(同)へ、それぞれ12.4%、13.2%も上がっています。このあたり、急激に進んだ円安と後述する売買データなどから、外国人の円キャリートレードによるものと推測されます。つまり彼らが日本株を買ったから円安になった、ということ(円安になったから株が買われた、というわけではない)でしょう。
いっぽうで大きく下がったのが債券価格。先日こちらの記事で書いたとおりです。直近の米長期金利は2.4%あたりと、たった1か月で0.6%もジャンプアップ! つまりそれだけ米国債価格が急落したことになります。これにつられたかのように日本の長期金利もじりじりと上昇してプラス圏にまで浮上してきました。とはいっても、わずか数bpに過ぎませんが・・・
このような超短期間での劇的な展開の原因は、先刻ご承知、「トランプ政策への期待」、つまり、選挙期間中からトランプ氏が公約として掲げていた大型減税や巨額の財政出動等が同氏の当選で本当に実行されそうだとの見方が市場に広がったことで、これらの恩恵を受けそうな米企業の株とか、今後の利回り上昇が必至のドルに投資家のマネーが集中した、といった感じでしょう。
・・・それにしてもこのマーケットの動きはあまりに急といえます。米トランプ政権の発足どころか、大統領選挙人選挙もこれからで、現時点で同氏が大統領になることすら正式には決まっていないわけですからね・・・。それに肝心の上記政策も実際に行えるのかきわめて不透明。先日の記事で指摘したとおり、これらが米経済・ドル覇権の命取りにつながりかねない長期金利の上昇を招くリスクが大きいためです・・・
以上をふまえると、いまの米市場の過熱ぶりは、まったく根拠のない楽観に基づくものといえそう。したがって、ここは冷静さが求められるところですよ・・・