いまこの瞬間(13日0:00)、債務不履行とユーロ圏離脱(?)の瀬戸際にあるギリシャに対する追加金融支援の是非を巡るユーロ圏財務相会合(ユーログループ)が開かれています。まあその結果がどうであれ、そして短期的には持ち直すことがあるとしても(対ドル、対円で買われることがあるとしても)、通貨「ユーロ」がこの先、長持ちしそうにないことはもはや誰の目にも明らかでしょう・・・
「ギリシャの勝利、債権国の敗北」
以前から本ブログで、ギリシャの財政危機を巡る「チキン・レース」の勝敗についてこう綴ってきました。こちらの記事等でも書いたとおり、その理由は、ギリシャのデフォルトがもたらす「リスクオフ」(債券価格の暴落等)のインパクトに債権国の多くが財政・金融の両面から耐えられそうにない、と考えるからです(なので、現在行われている会議はユーロ圏諸国の大幅な譲歩に終わる、と読むが・・・)。
そのあたりのダメージを現在、もっとも懸念しているのがユーロ圏の大国・フランスのように思えます。実際に9日、ギリシャ政府が提案した改革案(増税・年金削減等の改革実行と引き換えに債務整理や今後3年間で535億ユーロもの救済資金供与を求めるもの)に対して同国のオランド大統領は「真面目で信頼できる(serious, credible)」と評価し、追加支援に前向きな姿勢を示しています。これはつまり、ドイツに次ぐ二番目のギリシャ債権保有国であるフランスがこれらの貸し倒れを極度に恐れていることの表れといえるでしょう。同国債権の損失確定を絶対阻止するため、何が何でもギリシャへの「追い貸し」を認めたい・・・といった感じでフランスはいま、必死の思いで各国財務相を説得していると推察されます。
で、そんなフランスの望みがかない、晴れて(?)ギリシャへの5年間で3回目(!)の巨額融資実行が決定されたらどうなるか? まあ目先はリスクオフが回避されるでしょう。つまりギリシャ国債や同国株価指数は急騰、借金の利回りは低下し、通貨ユーロも対ドル等で上昇してマーケットは「リスクオン」モードに戻り、めでたし、めでたし、となりそうです。
が・・・至極当然なことに、2~3年後(いや早ければ数か月後?)、ギリシャは4たび(いや、何度でも)資金繰りに窮し、追加救済資金の無心と借金棒引きを要求してくるのは必至です。というのも、今回の支援協議が始まる前の6月、ギリシャは今後も大規模な債務減免および欧州による融資延長が不可欠であるとの見通しが立てられているからです。IMFによれば、もっとも楽観的な予想(個人的には、ありえないほどの超甘~い予想)でも、2012年に策定された同国の債務目標達成には、GDPの3割以上に相当する額(500~600億ユーロ)の債務元本の減免が必要になるとのこと。ということは、債権者からすれば、時間の経過とともにギリシャ関連の貸し倒れ損は増え続け、ギリシャにすれば対外債務が膨らむ一方・・・
そんなわけで、たとえ今回、上記支援が決定されたとしても、真の問題解消にはなっていない―――保つべきギリシャの債務持続性、そしてユーロ圏各国の支援持続性はすでに失われている、と考える次第です。