(前回からの続き)
前回書いたように、いまこの瞬間の米株高やドル高、さらに日本株式市場の活況ぶりは、米ドナルド・トランプ新政権への根拠なき過剰期待の反映といえます。なので、わたしたち日本人としては、ここはヘタに高値を追っかけたりするのではなく、むしろ逆に千載一遇の(?)逆行「売り」のチャンスととらえるのが正解かと・・・(?)
そう、いまこそ米株、ドルそして日本株をいったん売って円のキャッシュに替え、次の機会をじっと待つのが得策(?)。繰り返しますが、トランプ氏が公約した諸政策は金利上昇という激烈な副作用を米経済にもたらすため、このあたりの影響を見極めない限り上記資産への手出しは危険すぎると考えられるからです。
・・・と綴ったものの、これまた心配は無用―――本邦投資家の大半はこの熱狂ぶりに惑わされず、冷静なスタンスを保っているものと推察されます。それを示す一例が最近の日本株の売買状況。東証データによれば、米大統領選挙前の10/24~11/4までの東証一部株式の「個人」の売り越し額は1716億円だったものが、同選挙後の11/14~11/25には8736億円と大幅に増えました。いっぽうで「海外投資家」は10/24~11/4は432億円の売り越しが11/14~11/25には逆に7876億円もの買い越しに転じました。これらから、わが国の個人投資家(ミセス・ワタナベ)が、トランプ当選で熱狂する米国人らに対して日本株を高値で売り抜け、しっかり利食った様子が窺えるわけです。賢い投資行動だと思います。
だからといって、この1か月ほどのトランプ相場に関するジャパンマネーの動静に何の懸念もないというわけではありません。ここで、やはり一番心配なのが公的年金基金(GPIF)。本ブログで何度も指摘していることですがGPIFは、2014年10月の新運用方針の導入後、リスク投資で高値掴みを繰り返し、ここのところ巨額の評価損を計上しまくりです(このままでは運用の拙さとか同方針の妥当性を非難されるからか?[2014年10月時点ではなく]2001年度の自主運用開始時点と比べるとプラスです!なんて煙幕を張り出した・・・)。したがってGPIFには「このマイナスを何とか挽回しないと・・・」といったアセりの気持ちがチョ~強いはず。そんななかでの目の前のこのマーケットの盛り上がり・・・とくれば、GPIFの鼻息が荒くなるのはもっともですが・・・
・・・上述のとおり、いまこそは願ってもいないチャンス。よってGPIFにはぜひミセス・ワタナベにならい、この局面でリスク資産を売って利益確定していただきたい。現在のタイミングであれば、こちらの記事に書いたGPIFの損益分岐ラインを超える価額での資産売却が見込め、上記方針時点と比較してもプラスリターンが期待できそうです(?)。せめて為替差損が減ったであろう外債&外国株(の大部分!)だけでも手仕舞い売りしてほしい・・・と願うばかりです。実際には「くじら」にそんな機敏な動きができないことくらい分かってはいるのだけれど・・・