(前回からの続き)
この1か月間のトランプ相場ですが、そう長続きすることはないでしょう(?)。先述のとおり根拠がないうえ、本当にトランプ政策の財政大盤振る舞いが始まったら、米経済にとって中国以上(?)の脅威である長期金利の上昇が引き起こされるからです。
その他、アメリカ以外でもこれにネガティブな要因ばかりがめにつきます。たとえば新興国市場。いまアジア・アフリカ・中南米の諸国から巨額のマネーがアメリカに向けて流出しています。これは当然、各通貨の対ドルでの大幅な減価をもたらし、各国が抱えるドル建て債務の返済負担を一段と重いものにさせます。そのため今後、これらの債務履行に対する不安感が市場で高まって新興国債の価格が下げ止まらなくなるかも。これで損害を被るのは、そんな危険なドル債をしこたま抱えたアメリカのヘッジファンドだったりするわけです。
欧州もヤバそう。本稿の文脈で指摘すべき真の危機は、ポピュリズムの台頭などではなく(?)、先日綴ったイタリアやドイツなどの各国で深刻化している銀行の不良債権問題です。この先、これらに関連する金融資産の暴落は避けられそうもなく、米投資家の多くも傷つくでしょう。
そして上記ケースに共通する巨大リスク要因として浮上してくるのが、デリバティブ(CDS)。上記再検討のどれかに債務不履行とか選択的デフォルトみたいなことが起こったら、CDSの決済が発生し、その売り手は多額の支払いを求められるわけですが、それらのほとんど(?)は米金融機関のはず。果たして彼らは、(総資産に比して劇薄な?)自己資本に何らのダメージを食らうことなく、これに応じることができるのか?もちろんいっぽうの買い手の多くも米投資家。なので(売り手を救済するために)CDSがちゃんと履行されないことになったら、今度は米国人の買い手のほうが大損してしまう・・・
・・・このように考えてみると、米株(とくに金融株)とドルに代表される米金融資産(と、米国人らが円キャリーで爆買い中の?日本株)の急騰が、いかに根拠レスな危うい状況で起こっているのか、ということに気づきます(?)。よって、FXみたいに超短期と割り切って勝負する場合を除き、本邦投資家(および対外投資を検討中の企業家など)ならばこのトランプ相場には深入りしないほうが無難でしょう(?)。間違っても、いまの市場が日米のファンダメンタルズを反映している、なんて勘違いすることのないようにしたいものです。
・・・いつものことながら、個人的にはいまのドル高、すなわち「金(ゴールド)」安(約1,160ドル/トロイオンス)の局面で、金の現物を仕込むのがよろしいのではないかと・・・。中国はそうしていると思うよ、たぶん・・・(?)
(「リスク資産、絶好のチャンス到来!『売り』の」おわり)
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