本稿では表題について思うところを綴ります。まずはこんな私的想定シナリオから始めてみたいと思います。
---------------
201X年XX月、アメリカの中堅シェールオイル採掘会社がデフォルト。これを契機に世界的な「リスクオフ」ステージの幕が開ける。
これを受け、米ジャンク債市場がパニックに陥り、各社債が暴落、利回りは急騰し、資金調達に窮したいくつもの企業が連鎖倒産に追い込まれる。これと同時にジャンク債投資に傾倒していたヘッジファンドが次々と破綻し、これらを簿外で抱えていた米銀大手Xの経営不安観測がマーケットに流れ、金融関連株は急落した。
一方、欧州では、ついにA国が債務不履行を起こしてEUを離脱。A国債は紙切れ同然となったうえ、A国と同じく膨大な対外債務を抱えたB国とC国が市場アクセス不能となって財政危機に直面する。これに前後して欧州の主要銀行に巨額の不良債権が発生し、金融システムへの早急な資本注入が不可避となるが、A国債権貸し倒れ分の財政補填に追われる各国にそんな余裕はない。やむを得ずECBがELA(銀行向け緊急流動性支援)資金を使ったB・C両国の銀行による新規B・C短期国債買いを黙認したが、これが市場に「財政ファイナンス」と解釈されて、通貨ユーロ・欧州各国債・同株価はトリプル安に。
こうした欧州情勢もあって主要各国の株式市場は全面安の展開。アメリカでは株の含み益効果で支えられていた借金バブルが破裂して景気はリセッションへ突入、ローン延滞や破産が急増して銀行のバランスシートが深刻なダメージを被る。やがて頼みの綱の住宅価格まで下落に転じ、恐怖の資産デフレが本格的に始まる。少し前、利上げを開始したばかりのFRBは急きょ、政策金利を再度、ゼロ近傍へ引き下げたが、株価は下げ止まらない。ユーロ圏の金融危機に収拾の気配がまったくみえないなか、財務立て直しを急ぐ欧州銀を中心に、米MBS(不動産担保証券)売却の動きが相次ぎ、不動産市況も悪化の一途をたどる。
そうこうしているうち、上記X銀、さらに住宅金融公社が米連邦政府に対して総額数千億ドルもの資金援助を要請。これを嫌気して米株価は一段安へ、そして・・・リスクオフでじりじりと下がっていた米長期金利が急反発、一気に跳ね上がる・・・
---------------
うーん、われながらよくできたシナリオだなー。本当にこうなる(???)ような気がしてきたよ・・・と、自画自賛はこれくらいにして、次のストーリーに移ります。
上記の結果、「リスクオフ」の(前)(後)でマーケットの主要指標が次のようになったと仮定してみます。
株価:ダウ工業株30種平均 (前)18000ドル (後)12000ドル
DAX指数(ドイツ) (前)12000pt (後)8000pt
ユーロ/ドル:(前)1.2 (後)1.0(パリティ[parity:等価]!)
これをもとに、次回以降、このリスクオフ時における日米双方の個人投資家の資産運用パフォーマンスをシミュレーションしてみたいと思います。