TA‐F555ESXⅡのためのトランジスタを注文しているが、その間TA‐FA7ESを鳴らしてみた。
BOSEとは相性が良いはずだ。
夜中に小音量で鳴らすと良い感じ。レトロチック。
そんな英語無い。retorospective=回顧的な、だ。
パリッと明るくではない、どこかほの暗い感じの音。少しモノトーンかな。でもこれらは真空管アンプと比べてだ。
纏わりついたものを振り払って身軽になった、そんな感じの出音だが、このトランジスタアンプにはする。此れも真空管アンプと比べてだ。
このアンプ、どのくらい売れたのか?シリアルナンバーが95だからそれくらいは出たのかな?
95年発売だから25年。機械には厳しいが、割と古くもない。
そういやもう二台あるヤマハのAX‐1200は94年だ。
内部を見て行こう。
パワートランジスタは2SK1530Aと2SJ201Aというもの。シングルプッシュプルかな。それで80W/8Ω出すのだから、電音のUHC‐MOSと同じかな?でもあっちはシングルだったな。
オフセットの調整は無いと思ったが、どうやら一個ある半固定抵抗がそのようだ。アイドル電流値が基板に見えないので変だなと思った。
バイアスはそういうわけで無さそう。オプチカルバイアスサーキットというのだそうだ。オプチカル素子で電流制御してるとか。オプチカル、って、発光ダイオードじゃないの?それを制御に使えるの?
電源トランスはトーラストロイダル型。確かトロイダル型はEI型より小さくできると思ったので、555シリーズよりは大きいもののようだ。そしてカバーがしてありベースに乗っている。
電源コンデンサーは「TOWA」と、聞いたことが無いメーカー。東和電機株式会社で、なんと日本ケミコンに納入してるとのこと。ニチコンばかりで日ケミ見なくなったと思ってたら、あまりチカラ入れなくなったのかも。15,000が二個だが、十分と言えば十分だが、555ESXⅡからすると見劣りするな。
メインヴォリュームは良く見えないが、アルプスだろう。以前からしたら随分小さくなったが、精度が上がったので大きい物が必要なくなったのかな?と思う。
ヒートシンクはテフロンコーティングとのこと。さすがに生よりは響かないが、それでもダンプしてる感じが弱い。そうか、あまり厚くすると放熱が悪くなるんだ。
それらしいリレーは見当たらないが、電源を入れると音がするので小さいモノがあると思う。
ヒューズ抵抗は少し見つかった。下画像中心の少し下の1MΩだと思う。
その上の抵抗は理研のRMGだ。オレンジの抵抗もそうだと思う。結構カーボンって使われてんだ。最近私も嫌いではない。
インシュレーターは興味が無かったが、底板を外すのにこいつを外さないとならなかった。
本体触った感じはTAOCのハイカーボン鋳鉄にそっくり。銅板か銅メッキ鉄板を挟んで、偏芯でねじ止め。接地面は多分ブチルゴム。随分凝っている。
謎のプレートが有るが、これはバランス回路のモジュールらしい。絶縁処理したアルミプレートに部品を取り付けてあるとのこと。凝ってるなーと思うが、私はバランス伝送の機器が無い。
他に普段目につかないような画像を添付する。
バランス入力端子(裏板内)。
アンバラ入力端子(裏板内)。
電源のサブ基板?10Aヒューズが有る。
A‐Class段。
ドライバーか?
ブロックコンデンサーの底側。整流回路と思う。
フォノEQと思われる。
内部上から。
内部底から。
内部を見て思ったが、高いと思ってた価格は妥当かもしれない。回路設計はFA5ESで完成してるとしたらその分は利益にしてるかな?
オーディオが熟成して音質の向上があまり見込めない時期だったとして、これほどしないと売り文句が出来ない。
なんといってもみなハイグレードな電解コンデンサーで汎用品が見当たらない。基板も555ESXⅡから比べると小さくなっている。これはリファインしてジャンパーなどを少なくして手間を省けてると思う。
真空管アンプはOPTが有って直流カットできる。トランジスタアンプは保護回路で直流をカットする。
抜けの良さはトランジスタアンプが有利かと思ったが、真空管アンプと比べると無くせる接点が多い。
もしかしたらこの辺を思い切ってなくしたアンプは、真空管を超えるか?
などと妄想する。
少し調べたが、ライバル機はサンスイAU‐α707MRになると思う。他に目ぼしい機種は無い。今なら何となく音の傾向も分かるのでソニーを取るが、当時だったらサンスイ取ってたと思う。音以外のデザイン、内容は聴いたことない者にとって魅力的だ。
しかし決定的に、ソニーはシリーズ最上級、サンスイは上に907が有る。サンスイは取らなかったかも。
まあしかし、TA‐F555ESXⅡを解体して、随分トランジスタアンプが(良くも悪くも)見えてきた。
20200926