EL34PPmonoの入力トランスはアイエスオーのNP-126にすれば、低音はもとに戻ることが分かったのでゆっくりやることにした。先日消磁のために引っ張り出したヤマハのアンプRX-SL80の実力を知るべく、DS-3000で鳴らしてみた。
色気も魅力も無い、HiFiな音。でも過不足無く鳴る。不満もない。結構優秀かもしれない。低音が異質とか、変な音色とかが無い。クラシックをBGM的に鳴らすといい感じじゃないか!
このアンプ、勝手に40Wと思ってたら70Wだった。しかも+10dBまであるので100W位か?こないだの消磁には結構ぶっこんでたんだな。
一緒に部屋を集約した。オーディオ、PC、就寝を同じ部屋にした。
どんなもんだろ?
入力トランスをNP-126にした。AX-1200ほどは低音の量感はないが今まで聞いていた真空管アンプの低音だ。中高音が普通のアンプのように成ってしまうか心配だったが、大丈夫だ。こうなってくると「溢れ出す」まではいかないがエネルギー感が少し出てきた。
アイエスオーのトランスはトロッという音色が乗る。これはこれでクラシックを聴くには良いかもしれない。しかしTAMRAの「キリッ」とした音もいい。個性の無さはTAMRAだ。色々なジャンルを聴くにはこちらだ。
とするとA-8713をどうするか。このトランスは
磁化
周波数特性が良くない
と考えられる。
まず磁化をどうにかしよう。HOZANの消磁器を手に入れよう。
試しにカップリングコンデンサを0.1から0.47μFにしてみた。銘柄はRIFAだ。
視聴してもあまり低音は変わらない。これはちょっとの期待と、ほとんどの諦めというか確認だった。これで電圧増幅段と各CRの定数は一旦良しとしよう。もともと出てない(前段の入力トランスで低域カット)された音は、低域の減衰特性を変え(カップリングコンデンサの容量を変える)ても変わりなし(低音が出ない)と考えるとやはり入力トランスが怪しい。磁化が怪しいが、定格40Wの倍の80Wを掛けるにはちょっと勇気がいる。AX-1200でUA-3Sを増幅?その前にどうせLCRフォノイコをばらす予定だ、NP-126を外してこれを宛がってみよう。
それにしてもパーツの音が気にならなくなった。今回のRIFA(スウェーデン・フィルム)は以前使ったとき、フィルムコン特有の乾いた音だったので使うのを止めた。だが、回路をいじってる今はこれも使えなくはないと考える。この考えは回路の不具合は聞くに堪えない音なので、部品の違いによる音の違いは気にならない。なぜなら部品の違いの音は好みの違いで聞けなくはない。回路に興味が行った人は部品の音の違いに興味がなくなったのだろう。そう思う。・・・ちと言い過ぎか。
前回の投稿で低域の設計に触れたがそれについて検討してみる。
カップリングコンデンサ、電圧増幅段のプレート抵抗、電力増幅段のグリッド抵抗でローカットしてしまうというものだ。ラジ妓の定数。
6SL7 | |||||||||
プレート抵抗 | 100,000 | 10,000 | Ω | ||||||
真空管内部抵抗 | 44,000 | Ω | |||||||
6CA7のグリッド抵抗 | 240,000 | Ω | |||||||
合成抵抗X= | 30,556 | Ω | 1 | + | 1 | = | 144,000 | = | 0.00003273 |
100,000 | 44,000 | 4,400,000,000 | |||||||
カップリングコンデンサ | 0.10 | μF | |||||||
合計抵抗 | 270,556 | Ω | |||||||
低域カットの基準周波数 | 5.9 | Hz -3dB | |||||||
↓ | |||||||||
24 | Hz -0.5dB | ||||||||
となった。20Hzまでフラットとするとちょっと切ない。そこでもう少し周波数を下げるのはどうするか。一般的な6SL7の定数にしてみる。
プレート抵抗② | 220,000 | 10,000 | Ω | ||||||
真空管内部抵抗 | 44,000 | Ω | |||||||
6CA7のグリッド抵抗 | 240,000 | Ω | |||||||
合成抵抗X= | 36,667 | Ω | 1 | + | 1 | = | 264,000 | = | 0.00002727 |
220,000 | 44,000 | 9,680,000,000 | |||||||
カップリングコンデンサ | 0.10 | μF | |||||||
合計抵抗 | 276,667 | Ω | |||||||
低域カットの基準周波数 | 5.75 | Hz -3dB | |||||||
↓ | |||||||||
23.0 | Hz -0.5dB | ||||||||
これで視聴すると若干低域が増えた気もする。が変わらない気もする。6SL7のプレート抵抗も6CA7のグリッド抵抗も一般的な定数なので変えたくない。そこで良く分からないカップリングコンデンサの容量を変えたらどうか?
6SL7 | |||||||||
プレート抵抗 | 100,000 | 10,000 | Ω | ||||||
真空管内部抵抗 | 44,000 | Ω | |||||||
6CA7のグリッド抵抗 | 240,000 | Ω | |||||||
合成抵抗X= | 30,556 | Ω | 1 | + | 1 | = | 144,000 | = | 0.00003273 |
100,000 | 44,000 | 4,400,000,000 | |||||||
カップリングコンデンサ | 0.20 | μF | |||||||
合計抵抗 | 270,556 | Ω | |||||||
低域カットの基準周波数 | 2.9 | Hz -3dB | |||||||
↓ | |||||||||
12 | Hz -0.5dB | ||||||||
容量を0.2μFと二倍にすると
ローカットの周波数も1/2になった。そこでたまたま手元にあったSHIZUKIの黄色いフィルムコンをパラってみた。
実はたまたま手元にあったのではなくて、JENSENのカップリングコンが容量がおかしく成った?と思い試しに替えるつもりだった。
視聴では、これも変わったかどうか分からないが、気持ち低域が増えた気もする。でもSHIZUKIのコンデンサのせいか中域が曇った気がする。
それでもなんとなく傾向が分かった。カップリングコンデンサの容量の決め方も。
ふと思いついた。時定数。確かカップリングコンデンサとコイルか抵抗で発信するとかなんとか。色々HPで調べていると、低域の設計というのも出てきた。以前も「回路を勉強しよう」と思ったとき、時定数にぶつかった。確かプリの出口に22μFというでかい電解コンデンサが付いていて、これを何とか避けようと考えた時だ。当時はコンデンサはオイルが一番(今もだが)と思っていたので、大容量のオイルコンが入手不可能のため何とか少容量のものにしたかったが時定数というのでダメだった。それでこのプリは諦めたのだった。
ちょっと勘違いかもしれないが、電源回路の時定数がおかしいのか?と思った。2年ほど前、アンプを作り直すとき、コンデンサとチョークコイルを追加した。
これで低域時定数が変わったのか!まず、チョークを外す。
早速試聴。うーん変わらない。それでは追加したコンデンサも外してみよう。
う~~~んこれも変わらない。違うのか。困った。(でもそれ程困ってない楽しい)
でもこの場合、なぜかハムを引いてしまったのでコンデンサは復旧した。
ふと思い立ってEL34PPmonoパワー入力トランスの、一次側プラスとマイナスを入れ替えた。以前これを間違えてなんか変になった事を思い出した。しかし周波数特性がおかしくなったのではないと思う。が、試してみる。今は藁をもつかむ思いだ。
音出しは残念な結果だった。低音はあまり変わらない。若干気持ち増えたかな?
でも考えてみると、1対1のトランスを付けたら低音が出たのだから、やっぱりここが原因なのではないか。入力トランスをもう少し検討しよう。
しかし、中音が良い。スピーカーを限界近くでキリキリ鳴らしたいと思ったが、電圧増幅段の定数変化による音量(ゲイン?)の増加で今は、スピーカーの能力を少し使ったかなと感じている。
低音、もう少しなんだけどなー。
EL34PPmonoの電圧増幅段、6SL7の定数を変えてみる。
GEの真空管マニュアル?より、
プレート抵抗240kΩ
カソード抵抗2.2kΩ
終段6CA7のグリッド抵抗240kΩ
6SL7と6CA7のカップリングコンデンサ0.1μF
良く分からないが、グリッド抵抗の電圧が24V。
これを参考にプレート抵抗を変えてみる。手持ちが220kΩしかなかったのでこれで、プレート電圧を160V目標でドロップ抵抗を120kから30kへ変える。
音を聴く。抵抗を交換したのはRchだが、交換しなかったLchも鳴らすとRchの方が音が大きい。そして何かざらっぽい。しかしよく聴くと、前回よりさらに音が飛んでくる。何か真空管を定格ぎりぎりで使うとこんな感じになった記憶がある。
攻殻機動隊を聴くと位相が間違ったか?というほど響く。試しにピンジャックを片方外すとあまり変わらない。そこで笠原弘子を鳴らすと位相ずれっぽいのは無くなる。攻殻~は位相ずれで効果音を出してるのかもしれない。
どっちにしても今回も低音は変わらなかった。失敗。手詰まり、なんだが、6SL7は問題なさそうで、他の問題かもしれない。
EL34PPmonoパワーを真空管プリで鳴らしている。
前よりは低音が出てきたがまだ小さい。TAC-1イミテーションはカソホロなので出力インピーダンスは低いと思う。なのでプリを1段増幅のPR-200にしたらどうか?少しはインピーダンスが変わって何か音の変化が有るか?と考えた。でも変わらないとおもう。それは今まで何回か試してダメだったこと、インピーダンスはロー出しハイ受けなのだから影響はないはず。
そこで真空管の動作を少し変えてみようと思う。
出力段の6CA7は435Vで動作させてる例が有った。
電圧増幅段の6SL7についてはまだ調査不足だ。最大250Vらしいので、今160V程なので200V位にしたらどうか。
そんなことを考えてる。
それではAX-1200から自作TAC-1イミテーションへプリを替えてみる。夜中なのであまり音量を上げれないが。
これだこれ。やはり真空管同士だと中音がクリアになる。低音が幾分軽いが以前とは違う。ちゃんと出てる。
まあ、静的な音としてこう言う鳴らし方がが有る。どこまでもクリアに繊細に。ただしこれをやると躍動感が無くなると思う。エネルギー感も。スピーカーが余裕ですって感じ。もっとエネルギーをぶっこんでスピーカーをキリキリ鳴らしたい。
しかしまだ序の口だが鳴り方が変わったかもしれない。バックで演奏してるギターがコニョコニョ聴こえるようになった。いや、待て。なんだこの鳴り方は。一音一音がこちらに伸びてくる。若干エネルギー感が乗った。
これはセッティングが落ち着いてきたこともあると思う。完全に落ち着くのは2年はかかると思っている。それにまして、真空管の動作点がかみ合ってきたのかもしれない。最初入力トランスをTF-3で組み、その後モノは試しでA-8713にしたらいい感触を得た。その時は確か電圧増幅段の6SL7のプレート電圧が低く、電圧を合わせたらプレート抵抗の値を間違えた。それを合わせたのが今回でようやく本来の動作点になったのではないか。音量も心なしか増えた(ヴォリュームノブの位置が若干下がった)気がする。あと響きも変わった。今までは大げさに鳴らしてたかもしれないという気になるほどしっかり鳴る。心地よさと云ったら前の響きだが、今は「これが本物の響き」という感じだ。ただ、定位はまだかもしれない。各楽器がゴチャッとしてる感じ。まあ、これはアンプが温まってないからとも思う。
間違いない。低音は復活した。もう少しAX-1200をプリとして聴こう。
今日はAX-1200のフォノイコを使ってレコードを聴こう。森川美穂だが、シッカリ鳴る。これを聴くとLCRフォノイコは何か危うい鳴り方だ。AX-1200は安心感が有る。・・・20年前に聴いてたCDの様かも?でもまあ、鳴ってるだけで「何が良いの?この鳴り方」って感じか。TR式と真空管式の混合だが、どっちつかず、という感じか。
トランジスタのプリと真空管のパワーは相性はそんなに悪くないという。インピーダンスの関係というが、それだけではないような気がする。そもそも信号:サイン波が違うのではないか。
でも、良い音で鳴る。というか良くなってきた。AX-1200のフォノイコが目を覚ましてきた?
ヴォリュームの位置が1時を指している。やはりゲインが足りないので入力トランスの両端20kΩの抵抗を外そう。
電圧増幅段の6SL7のプレート抵抗は、原設計では100kΩだが、その前に10kΩの抵抗が付く。なぜかこのプレート電圧が低かったのでこの10kΩを250kΩに変えていた。これにはプレート抵抗が110kΩから350kΩにしたことになるのか?と思い、10kΩに戻し、9Hのチョークの後に、6SL7のプレートが160V位になるように120kΩを取り付けた。
AX-1200をプリとして接続し、鳴らしてみた。
最初、低音が出ないので「あれ?」と思ったら、BASS/TREBLEを最小にしていた。ソースダイレクトを入れたが低音は出なかった。やっぱダメか。思い、ソースダイレクトを切ってBASSを最大にした。そしたらあろうことか低音が出てきた。
やった!接触不良?プリの接触不良でパワーの特性が変わった?とは考えにくい。まあ、治ったので良しとしよう。
しかし今回は、左右違う回路で低音が出たりと分からない事がある。
でも、電圧増幅段の負荷抵抗で周波数特性が変わる、となるとどこに負荷抵抗の値を持って行けばいいのか。周波数特性を測りながら良いところを探すのか?膨大な地味作業になる。
やっと普通の音になった。2年ほど前、TF-3をA-8713にしたとき、低音については気にならなかったのでたぶん出ていたのだろう。でも弱かったのだろう。6SL7のプレート電圧を合わせたとき、この時たぶん低音が出ていなかったのだ。この時低音が出ないのはプリの所為と考えてたので原因が解らなかった・・・。
何はともあれ良かった、ヨカッタ。
EL34PPmonoパワーの調整をする前に、せっかく持ち出したAX-1200でじっくり聴く。
ヤマハサウンドがここにある。ナチュラルサウンドというのか。ズンドコ下品ではない低音。下まで伸びてはいないが弾力があり、適度に肉厚。
高音は今聴くと繊細さは余りないが、ちゃきちゃきウルサくはなく、全体のバランスを取っている。
そして中音。女性ボーカルを聴くとハマる。透明感はさほどないが、なんとも心地よい声音・音色だ。低価格なアンプにありがちな乾いた音色は無い。
そして響きが作ってるかのようでも有るがなんとも心地よい。
このクラスになると不満はない。もはや好みの問題で、各メーカーの音を表現する。
BTLもいいが、あれはトーンコントロールが効かない。個性がなりを潜める。おっと、そいやトーンコントロールBASS、TRE最少だった。DIRECTポジションにすると低音が出てきて横の広がりが若干位相ずれっぽく広がった。透明感は若干落ちたか?
メインにはなりえない音だが、時々聴きたくなるのはEL34PPmonoパワーが仕上がってないからだろう。