昨日は糖尿病の講演会に行ってきた。地域限定の小さな会だった。会場の施設は移転するそうで、その建物で行う最後の会だそうだ。イーライリリーと大日本住友製薬の共催(実際は主催)で、当然GLP-1受容体作動薬トルリシティ皮下注0.75mgアテオスの宣伝になる。
講師は岩手県盛岡市内で開業している先生で、岩手医大糖尿病代謝科の講師まで務めた先生なので、地域の糖尿病治療の中心になっているらしい。以前もどこかで講演を聴いたことがあるような気がする。
BOT(経口血糖降下薬+持効型インスリン)からの切り替えは、空腹時Cペプチドが1ng/ml以上あり、インスリン量が20単位未満であれば、GLP-1受容体作動薬でいけるという。BOTでは体重が微増するが、GLP-1受容体作動薬では体重が減少する(長時間型では微減)。
GLP-1受容体作動薬には短時間型と長時間型があるが、短時間型は副作用の消化器症状で継続が難しい。長時間型の中でも毎日1回のビクトーザよりは週1回のトルリシティの方が簡便でよいという(この辺はしっかり宣伝)。
糖毒性のある症例では、インスリン(持効型のみのBOTから強化療法まで)を使用して、まず糖毒性を解除してから、GLP-1受容体作動薬に切り替える。空腹時血糖250mg/dl以上か食後血糖350mg/dl以上では、糖毒性ありと判断してインスリンを使用する。
糖毒性解除後にGLP-1受容体作動薬を使用した方が、(GLP-1受容体作動薬を直接使用するより、自己インスリンの出がいいという。
BOTにしても血糖の下がりが今一つのときに、持効型インスリンとGLP-1作動薬を併用するのはと、質問したところ、あっさり切り替えて大丈夫ですということだった。(実際は併用しないと難しい症例もある)
心血管イベントを有意に低下させるエビデンスという点では、GLP-1受容体作動薬・SGLT2阻害薬・メトホルミンが推奨される。DPP4阻害薬は血糖は下げるのに、何故かイベントには影響しない。
DPP阻害薬はBMIが低い人ほど有効で、BMI<28ではメトホルミン併用という条件でDPP4阻害薬を使用する。BMI>28ではGLP-1受容体作動薬を使用する。
GLP-1受容体作動薬は空腹時血中Cペプチド1ng.ml以上でとしているのは、非専門医にも安全に使える様にという値で、講師の先生は0.7ng/mlくらいでも使用しているという(非専門医はマネしない方がいい)。
いいことずくめのような、GLP-1受容体作動薬だが、値段は高く1キット3586円(1割で358.6円、3割で1075.8円)するのと、自己注射指導料が発生して、月総額650点(6500円)になる。注射薬に対する抵抗もある。
当方は、非専門医としてはGLP-1受容体作動薬を使用している方だろう。