なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

嚥下障害

2019年10月10日 | Weblog

 昨日の午後に隣町の町立病院から74歳女性が紹介されて、内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医、神経内科志望)が診察していた。診断についてではなく、対応について相談された。

 受診2日前の夜にめまいがあり、その後に嘔気・嘔吐があった。頭痛はなかった。その翌日(受診1日前)の朝からものを飲み込もうとしても飲み込めなくなった。唾液も飲み込めないという。

 当院受診時は血圧188/79mmmHgと高値だった。意識は清明。歩行はできるが、右にふらついてしまう。普段は高血圧症・耐糖能障害で通院していた。

 頭部MRIで右橋延髄移行部の右後側に5mmの梗塞巣を認めた。これが原因なのだろう。MRAで椎骨脳底動脈系の解離はない。比較的若いし、すでに2日経過しているが、通常は当院よりもっと高次病院で急性期の治療をしてもらうため紹介している。

 しかし、この方は埼玉県在住で、たまたま当地域の温泉に旅行に来ていた。受診日の翌日(つまり今日)自宅に帰る予定だった。通院しているのはクリニックらしいが、関連の病院があり、調べてみると脳神経内科・脳外科もある400床規模の病院だった。

 診断がついたのは午後6時過ぎで、新幹線で地元に帰るのもあるかと思ったが、夫と車で来ていた。車だと5時間はかかるだろう。結局当院に一晩入院して、翌日に地元の病院に連絡して入院治療にしてもらうことになった。

 症状からはWallenberg症候群のようだが、延髄外側ではないので、そうはいえない。嚥下障害・運動失調の症状が残れば(たぶん残る)、胃瘻造設による経管栄養にするしかないのかもしれない。

 「首都圏在住の方が、たまたま当地域の温泉に来て病気を発症して受診」、というのは当院のあるあるだ。

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする