なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

胃癌・癌性腹膜炎

2019年10月04日 | Weblog

 87歳女性が食べるとゲップが出るという訴えで、水曜日の内科新患を受診した。内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が担当していた。

 眼瞼結膜の貧血があった。腹部が膨隆して、両側下腿浮腫がある。検査では、Hb7.6g/dlの小球性貧血(MCV78.0)だった。LDHが321と軽度に上昇している。血清総蛋白5.1g/dl・血清アルブミン2.5g/dlと低蛋白血症もある。追加した腫瘍マーカーはCEAが8.6、CA19-9が223.7と上昇していた。これは癌を示唆する。

 胸腹部造影CTで胃の幽門前庭部が不整に肥厚している。胸水・腹水貯留もあった。胃癌・癌性腹膜炎で間違いないだろう。

 内視鏡検査は混んでいたが、消化器科医に相談して最後に入れてもらった。上部消化管内視鏡検査では、胃角部から幽門輪まで全周性狭窄(幽門狭窄)を認めて、スコープは通過できなかった(液体は通っている)。

 一人で受診していたので、翌々日に家族と一緒に来てもらって相談することになった。水分はとれて、そもそも入院するつもりで受診していなかった。

 8月にも同様の症状で受診していて、その時も同じ若い先生が外来で診ていた。患者さん自ら町内の仕事をするようになってそれがストレスになっていると話していた。胃の不調もあったが、検査は希望しなかったので、経過をみることにしたそうだ。2週間後再受診した時には、食欲が出て、良くなったと話していた。その後は受診していなかった。

 若い先生はその時検査していれば、貧血と判明して、そこから精査すればもっと早く診断できたと反省していた。結果はまったく同じになったとは思うが、一般的な検査はしておいてもよかった。わかってからは、何とでも言えるが。

 

 

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