なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺血栓塞栓症

2019年10月17日 | Weblog

 昨日の午前中に内科医院からの依頼で70歳女性が救急搬入された。主訴はめまい・ふらつきだった。市役所に行こうとして、途中で急にその症状が出現してしゃがみ込んだそうだ。たまたまそこに救急車が通って、かかりつけの医院に運んだという。

 搬入時は横臥しているので、症状は軽快していた。バイタルサインはやや頻脈で(正常洞調律で不整脈なし)、血圧が最初は90台と低かったので、降圧薬の効き過ぎや起立性低血圧かと思った。その後すぐに血圧は110~120と正常になった。意識消失はなく、全部覚えている。

 2年前に慢性硬膜下血腫で手術した既往がある(脳血管障害の専門病院)。その時のような半身の脱力はなく、血圧低下気味で違うとは思ったが、頭部CTを確認した。異常はない。

 診察で貧血はなく、血液検査でもなかった。腹痛やタール便もない。血液検査でDダイマーが7と軽度に上昇していた。肉眼的には下肢深部静脈血栓症らしさはないが、肺血栓塞栓症疑いで造影CTを行うことにした。

 右肺動脈に血栓があるようだ。放射線科医から右房内に血栓が疑われると指摘された。循環器科医に相談した。心エコーで右房内にCTで見たほど大きくはないが、索状物を認めた。下肢静脈には血栓を認めなかった。

 深部静脈血栓症から血栓が飛んで、右房にひっかかり、さらに肺動脈に血栓塞栓症を来したのだろうか。低酸素はなかったが、入院治療で慎重に経過をみるのが普通だろう。

 後で知ったが、患者さんは入院を拒否して帰宅したそうだ。循環器科が急変の可能性も説明したが、入院に同意しなかった。抗凝固薬を処方して外来フォローとなった。

 

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