なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

くも膜下出血、脳梗塞

2019年10月05日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。土曜日は午前中はクリニックや私立病院が診療しているので、通常は受診が少ない。そのつもりでいたら、施設にショートステイ中だった76歳男性がさっそく受診してきた。

 この方は誤嚥性肺炎を繰り返して、数えきれないくらい入院している。今日も左肺下葉に浸潤影が広がっていた。心房細動・心不全もあり、両側胸水貯留と浮腫も認めた。退院して1週間たったところだった。

 2日くらい絶食にすると自分の食事はないのかと、怒り出す。認知症(多発性脳梗塞)で、ベットの上に立ち上がったりするので、入院時は体幹抑制を要する。

 

 頭痛が突発した63歳女性が救急搬入された。救急隊の搬入依頼が来た時から、くも膜下出血だろうと思われた。午前9時20分ごろ会社で荷物を運んでいる時に突発していた(ふだん頭痛はない)。血圧も220/109mmHgと上昇していた。意識は清明だった。

 当院は救急室の向かいが放射線科なので、すぐに頭部CTを行った。誰でもわかるくらい明らかなくも膜下出血の画像が出た。脳外科のある地域の基幹病院に連絡すると、受け入れてもらえて、救急搬送した。先週は満床ということで受け入れ困難だったが、今週はお願いできるようだ。

 

 昨日の午後8時から左上下肢の脱力と知覚低下が続く74歳女性が、兄夫婦の車に乗せられて病院を受診した。普通に脳血管障害疑いだが、そう言うとビックリしていた。いやいや普通そうでしょう。頭痛はない。

 頭部MRIで右内包後脚に新鮮なラクナ梗塞を認めた。脳梗塞とは思ったが、型として出血の否定から入るので、最初に頭部CTを施行していた。何となく同部位が低濃度かなとは思われたが、やはりMRIで確認したい。発症16時間くらい経過しているので、当院で治療することにした。

 同居の夫は脳出血後遺症で地域の基幹病院に入院して、その後当院の回復期リハビリ病棟にいたそうだ。要介護4の介助で車椅子の生活で、食事はセッティングすれば食べられるという。1~2日のショートステイを使っていたが、今回初めて2週間のショートステイに入れていた。

 あと10日くらい余裕はあるが、自分のリハビリもあるので、ショートステイ後に病院で預かってもらえないかという。レスパイト入院で対応可能なので、週明けにMSWと相談してもらうことにした。

 今ちょっと外来が落ち着いている。その後の症例については、明日に続く。

 

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MCV141

2019年10月05日 | Weblog

 昨日の金曜日に、87歳男性が救急搬入されていた。救急当番の外科医から当方に連絡がきた着信履歴が残っていた。昨日夏休み分を消化するために休みをとっていて不在だった。外科医は、代わりに内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)に入院を頼んでいた。

 カルテの記録によれば、この患者さんは2年前から痩せてきて、半年前から食欲が低下していた。1週間前からはほとんど食べなくなり、2~3日前から動けなくなっていた。

 10年前に肋骨骨折で整形外科クリニックを受診してことがあるが、それ以外は医療機関を受診していなかった。家族が受診を勧めても拒否していた。

 検査で、明らかな感染症や腫瘍らしいものは認めなかった。異常は末梢血検査にあった。白血球2100・Hb6.3g/dl・血小板10.7万と汎血球減少を呈している。LDH969と上昇して、他の肝機能は正常域になるので、これは血球由来だ。

 貧血はMCV141.8と著明に上昇していた。ここまで高値だと、ビタミンB12欠乏性の巨赤芽球性貧血で間違いなさそうだ。胃の手術歴はなかったので、悪性貧血になる。

 内科の若い先生は、血清ビタミン12と葉酸の外注検査を提出して、ビタミンB12注を開始していた。うまくいくと、見違えるように病状が改善して退院できる可能性がある。

 これまでのビタミンB12欠乏性の巨赤芽球性貧血の中でも、MCV141は最高新記録かもしれない。

 

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