なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

完全房室ブロック

2019年10月30日 | Weblog

 昨日地域の基幹病院救急科の先生から、82歳男性が紹介された。慢性腎臓病(血清クレアチニン2程度)で腎臓内科に通院しているそうだ。

 左下葉の肺炎があり、脱水症のためか腎機能もふだんよりやや悪化しているという。ベット満床で入院させられないので、ということだった。午前中外来を診ている時に連絡が来て、その日の午前中に同院から転院した2名もまだ診ていなかったので、午後2時ごろに送ってもらえると助かりますと返事をした(自宅の車で移動)。

 実際は午後3時半ごろに到着した。ふだんは畑仕事もしているそうで、会話の様子は意外に元気だった。前日から歩くとふらつくようになり、右手を打撲していた。外来看護師さんから、送られてきた画像のCDを今取り込んでいるところと言われた。

 診察すると、異様に徐脈だった。規則的ではあり、数えると心拍数40/分。両下腿~足の浮腫が目立つ。診療情報提供書には、急性肺炎・慢性腎不全・心房細動・心不全とあった。循環器内科ではなく、腎臓内科で全部まとめて診ているそうだ。

 内科外来にポータブル心電図を持ってきてもらうと、P波とQRSはまったくつながっておらず、完全房室ブロックだった。QRSはwideではないので、補充調律は房室接合部付近から出ている。

 取り込んだ画像を見ると、左下葉に肺炎の浸潤影はあるが、重症ではない。完全房室ブロックの方が主病になる。循環器科の病棟に行くと、若い先生たちが2名いたので相談した。

 患者さんを救急室に移動させて、心電図モニターを装着した。入院時に必要な血液検査と血液ガスを採取した。血液ガスは、PaO2 78.0・PaCO2 25.4・pH 7.470(室内気)と頻呼吸はあるが、大きな問題はない。BNP 879.0・血清トロポニンI 180.3と高値だった。

 これまでに心電図の経過を知りたいということで、循環器科の若い先生が紹介先した先生に電話で問い合わせた。診療情報提供書にある通り心房細動の時もあったが、その日は完全房室ブロックになっていたそうだ。

 緊急で体外式ペースメーカーを挿入して、翌々日に心臓ペースメーカー植え込み術が予定された。

 内科入院ではなく、循環器科入院になったので、内科的には助かったという話。当院の循環器科は平日時間内のみの営業なので、それ以外は心疾患を扱えないのが難点だ。

 

 

 

 

  

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