学会で不在だった先週の木曜日に71歳男性が発熱・腰痛で内科に入院していた。発症は前日かららしい。午前7時ごろ救急外来を受診したので、前日からの当直医(耳鼻咽喉科)が診察した。
最初腰痛がひどいので整形外科にコンサルトしたが、発熱があるので整形外科で診る疾患ではないと判断したようだ(診察はなし)。尿混濁はないが、急性腎盂腎炎として内科当番の先生に申し送って、内科入院となった。
セフトリアキソンで開始して、38℃台だった発熱は解熱していた(平熱~微熱というところ)。入院してからも腰痛は続いている。入院時に尿培養(陰性)と血液培養2セットが提出されていて、2セットからブドウ球菌(MSSA)が検出された。
病棟に主治医の先生がいたので、腰椎MRI検査を入れてもらうことにした。心エコー検査も追加した。
腰椎MRIでは腰椎にT2脂肪抑制で高信号を認めて、化膿性脊椎炎の一致する所見とされた。心エコー(経胸壁)では明らかな疣贅は認めなかった。心機能には問題がない。
ブドウ球菌がどこから血流に入ったかはわからない。整形外科に転科となって、抗菌薬が変更された。カルバペネムでいくようだ。
通常はセファゾリン2g1日3回で、それにリファンピシンを追加するかどうかでいいと思っていた(プラチナマニュアルにもそうあるし)。学会で骨髄炎の講演を聴いてきたところでは、そうでもないようだ。
黄色ブドウ球菌は細胞内寄生(骨芽細胞内)するという。抗菌薬の骨芽細胞内移行性は、RFP・ST・OFLX・CLDMでは良好だが、βラクタムやVCM・TEICなどは移行性が悪い。RFPの併用が有効でMRSAに100%感受性があるが、耐性化しやすい(単独では使用しない)。
MSSAにはCLDM+RFPといきたいが、これだとCLDMの濃度が低下するそうだ。MSSAにはDAP/LZD+RFPになる。
講演は整形外科の松下和彦先生で、主には関節置換術後の感染の治療の話だったが、化膿性脊髄炎も同様なのだろうか。