8月17日(土)は外部の先生が日当直だった(要するにバイト)。東京の病院の内科専攻医で、月1回来てもらっている。斡旋業者からの紹介だったはずだ。
土曜日の早朝に東京を出ると、午前9時過ぎくらいには着く。少し前日の当直医に残ってもらえばそれでも可能だが、金曜日の夜に当地に着くようにしていた(いわゆる前乗り)。
台風の影響で金曜日の新幹線が運休となっていた。病院では来られない時に備えて、常勤医2名を日直と当直に割り当てていた。どうなるかと思われたが、日曜朝の新幹線で来てくれた。
当方はその日の内科当番で、夜になって入院が必要な患者さんがいて、連絡がきた。81歳女性が食欲不振で受診していた。血清カリウムが6.0と上昇していた。もともと心房細動があるが、高カリウム血症による波形変化はなかった。
グループホームに入所して(認知症ではなくて精神遅滞)、当院の内科外来と消化器外来に通院している。高カリウムを来すACE阻害薬とMRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)が処方されているので、それを中止して、点滴で経過をみたいということだった。入院の指示をお願いした。
1週間くらい前から食欲不振ということだったが、入院後は少しずつ食べ出していた。19日は血清カリウム4.7と改善してきていた。点滴を減量して、処方薬の調整で経過をみることにした。
この患者さんは7月に消化器科医が胸部異常影に気づいていた。左上葉に腫瘤影があった。放射線科の読影レポートは肺腺癌か器質化肺炎となっていた。
呼吸器外来(非常勤)に紹介された。腫瘍マーカーは全部正常域だった。デキサメサゾンを試していたが、胸部X線・CTで陰影が増大していて、中止していた。
8月の腫瘤影を見ると、確かに短期間で増大している。肺癌にしか見えない。進行が早いのが気になる。
19日に遠方から兄弟が来たので、経過を説明した。当方としてはその日初めて診た患者さんで、画像も確認したばかりだった。食欲不振と高カリウム血症は軽快して退院にできそうなこと、肺癌で間違いなければ限られた予後になることをお話した。
この陰影で器質化肺炎ということはあるのだろうか。「抗菌薬投与で軽快しない時は、肺癌を考えるように」と読影レポートにあるのも気になった。
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