なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

大腸菌ESBL

2019年01月24日 | Weblog

 月曜日の夜に93歳女性が高熱で救急外来を受診した。当直医は整形外科の若い先生で、内科当番だったので連絡がきた。

 時節柄行ったインフルエンザ迅速試験(その日から高感度検査が開始)は陰性で、胸部X線・CTで肺炎もないという。白血球数は14600と上昇していた。内科入院にしていいでしょうか、ということだった。尿路感染症(急性腎盂腎炎)と思われたので、尿培養と血液培養2セットを提出してもらって、セフトリアキソン1g点滴静注の入力をお願いして内科入院とした。

 翌日には解熱していて、食事摂取も良好だった。まあその後、朝方の不穏で看護師さんを困らせていたが。細菌検査室から血液培養からグラム陰性桿菌が検出されて、大腸菌らしいと報告が来た。

 菌血症でちょっと驚いたが、やはり尿路感染症だったのかと思った。受診時の尿検査は一般検査だけで、尿潜血陽性・白血球反応陽性で尿路感染を示唆していたが、高齢女性なので尿所見だけでは確定できなかった。

 このままセフトリアキソンを継続して、菌血症なので計14日以上の抗菌薬投与になる。1週間は点滴静注にして、その後はセフェム系内服(ケフレックス)に切り返る予定としていた。

 今日細菌検査室から連絡がきて、尿培養と血液培養2セットから同じ大腸菌ESBLが検出されていた。セフトリアキソンは検査上は感受性がないが、臨床的には効いた結果になっている。そのままセフトリアキソンで継続とはできないので、ESBLに合わせて抗菌薬を変更することにした。

 ST合剤・アミノグリコシド・βラクタマーゼ配合ペニシリンも感受性はあるが、ここは岩田流にセフメタゾールでいくことにした。ESBLはセファマイシンは分解できないそうだ。内服になればST合剤にできるか。

 今日の検査では、白血球数も尿所見も正常化していた(尿中細菌陰性)。尿路系には大量に抗菌薬が入っていくので、検査上感受性が無くても臨床的に効くことはよくあるが、ESBLの場合もそうなのだろうか?。まあそのまま継続使用とはしないけど。

 

コメント (1)
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