なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

すでに意に沿わない治療

2019年01月10日 | Weblog

 地域の基幹病院脳神経内科から脳梗塞の89歳女性が転院してきた。昨年の12月16日に構語障害・運動失調などで発症していた。入院後も脳梗塞が進行して、小脳・脳幹部・視床などに多発性梗塞が出現した。

 開眼はしているが、発語はなく、視線も宙をさまようようで意志を持って見てはいない。経鼻胃管を挿入して、経管栄養が開始されていたが、喀痰吸引が頻回だった。舌根沈下の音が大きく聞こえる。

 心房細動はなく、MRAで著明な動脈硬化・閉塞を認めることから脳動脈硬化症からの血栓症という診断だった。転院依頼の連絡が来た時に、今後どのような方針で診るようになりますかと訊くと、急変のありえるとは言ってありますということだった。

 家族と面談した。最初実の娘さんとその夫かと思ったが、実の息子さんとそのお嫁さんだった。主にお嫁さんとの相談になり、息子さんはあまり関心がないような印象だった、お嫁さんは基幹病院の検査技師さんで、病気のことは嫁に任せるということのようだ。

 患者さんは発症前に、近所に胃瘻造設を受けている人を見て、自分は胃瘻はしないと言っていたそうだ。経鼻チューブと胃瘻と投与経路の違いだけで、経管栄養になっているので、受けたくない処置をすでに受けていますがと伝えたところ、ちょっと驚いていた。

 経管栄養食を入れると喀痰が増加して何度も吸引する様になっていた。発熱と聴診上の所見があり、胸部X線で誤嚥性肺炎を認めた。経管栄養は中止して、末梢からの点滴で少し経過をみることにした。

 高カロリー輸液にする意義があるかどうかは意見が分かれるかもしれないが、当方は家族が希望すれば行っている。まあ、その後に療養型病床のある病院に転院してよければという条件は付いてくるが。

 

 今日の院内勉強会は、国立国際医療研究センターAMR臨床リファレンスセンターの具芳明先生が抗菌薬適正使用の講演に来られる。感染管理の係りなので、座長をすることになっている。

 

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