なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

びまん性の陰影

2019年01月04日 | Weblog

 内科の若い先生(内科専攻医)から年末に急性肺炎で入院した23歳女性のことで相談された。すでに解熱して、炎症反応も改善していた。胸部X線でも陰影が軽減していた。

 12月29日に数日前からの咳と倦怠感で内科医院を受診した。前日から38℃台の発熱があった。胸部X線で両側下肺野に浸潤影を認めて、酸素飽和度70%(室内気)と低酸素を呈していたため、当院に救急搬送された。

 話を聞いて、「マイコプラズマ?」、と効いたが、「違うと思います」と言われた。白血球数19300・CRP1.8と上昇していた。肺炎球菌尿中抗原は陰性(レジオネラ抗原も陰性)で、どうしても喀痰は出なかった。炎症反応からは細菌性肺炎らしいということだが、年齢的にも非定型肺炎もカバーした治療になるか。

 「CT画像が・・・」、ということで、胸部CTを見て驚いた。両側肺野にびまん性に粒状影があった。右中葉(と下葉に一部)・左舌区(と上葉の一部)に斑状影があり、胸部単純X線で目立っていたのはその陰影だった。その目で見ると、胸部単純X線でも上肺野からびまん性に粒状影が見える。

 粟粒結核?と思ったが、小葉中心性の分布で胸膜直下にはない。粒状影自体が淡い印象がある。入院してセフトアキソン投与で翌日には解熱している。食欲も良好となり、酸素吸入も2L/分程度までで済んで、それも4日後には飽和度か改善して中止になった。

 これは呼吸器内科にある病院に紹介してもいいと思う、と伝えた。年末の休み体制に入っていたので、紹介をためらったそうだ。急性好酸球性肺炎も考えたが、喫煙歴はなかった。当院に入院させたものの相当に心配だったらしいが、幸いに経過が良かったのでそのまま治療継続したのだった。

 

 来週非常勤の呼吸器内科の先生に訊いてみることにしたが、呼吸器内科ではそれほど珍しくないのだろうか。日数をあけて胸部CTをもう1回撮影してみたいが、画像に対する興味本位で行うのもまずいだろう。呼吸器内科医から、他疾患鑑別のために必要と言われたら行うことにする。

 

 昔他の病院にいたころ、20歳代後半の男性が肺炎で入院してきた。抗菌薬投与で解熱軽快して、退院を考えていたころから血痰が出始めた。抗酸菌塗抹で陽性と出て、肺結核と判明した。家族も検査すると、同居の妹さんも肺結核になっていた。肺結核で全身状態が悪化したところに通常の細菌性肺炎を併発して、そちらだけ治療して良くなったのだった。

 

コメント (1)
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