昨日の午前中は救急当番をしていたが、市内のスーパー銭湯から75歳男性が救急搬入された。洗い場で一過性に意識消失して、倒れて頭部を打撲していた。
この銭湯からは時々患者さんが救急搬入されてくる。大抵は長く入浴しすぎて(サウナ状態の洗い場に長くいすぎるのもある)、一過性に血圧が低下して意識消失するという「湯あたり」の人が多い。裸でピンク調のいい色で運ばれてくる。たまに浴槽内に沈んでいるのを発見されて、心肺停止で運ばれてくることもあった。
昨日は意識は戻っていたので、外来で経過をみて帰宅できるだろうと判断された。ただ救急隊の話では、地域の基幹病院循環器内科に通院していて、PCIを受けていた。不整脈や心不全の可能性もあり、最初救急隊はそちらの病院に搬入依頼したそうだが、状況から近くの病院で診てもらうようにということだった。
搬入時は意識清明で血圧が106mmHgで、倒れた時はもっと下がっていたのだろう。浴槽内にいて、嘔気が出現して浴槽から上がったところで倒れていた。バイタルは問題なく、胸部X線・心電図も特に問題はないようだ。浴槽内や洗い場に1時間いたそうで、一過性の血圧低下による症状でいいようだ。
処方内容で降圧薬の調整が必要かもしれなかったのと、心電図は右脚ブロックなので、処方内容と可能なら前回の心電図をFAXで送ってもらうよう地域医療連携室に依頼した。
単に確認のつもりだったが、診療内容を他院に送るときは主治医の許可をとる。先方の病院の循環器内科の先生(女性)から電話が入った。「どんな様子ですか」と訊かれて、「いや、長く入浴し過ぎただけの様です」と恐縮して答えた。療情報提供書と検査のコピーが大量に送られてきた。
午後まで点滴室で経過をみて、すっかり良くなって帰って行った。次回外来時に持っていてもらう当方からの診療情報提供書の返事はたった1枚。患者さんの住所は県内ではあるが、診療圏としては違う地域で、当地で銭湯に入っても家に戻るころにはすっかり冷めている地域だった。
このスーパー銭湯、近くの温泉の出る保養所、さらに山間の温泉街のホテルから、浴槽内で沈んでいるのを発見されて、心肺停止で救急搬送されてくることが毎年のようにある。
朝方にひとりで温泉に入っていて浴槽内に沈んでしまうと発見が遅れるが、入浴者が多数の銭湯でも浴槽に沈んでしばらくしないと気付かれないこともあるようだ。長い入浴は禁物だ。