なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

2か月続く下痢

2019年01月22日 | Weblog

 内科新患に74歳男性が2か月続く下痢を主訴に受診した。嘔気もあって食欲もないという。入院希望だった。

 

 この患者さんは7年前に不明熱で入院していた。感染症・悪性腫瘍は否定的で、リウマチ膠原病科のある病院に紹介した。その後は返事が来なかったので、どうなったのかそれこそ不明だった。

 結局診断は皮膚筋炎となったそうだ。抗核抗体は陰性だったが、確かにCKは上昇していた。ただ入院中に有意な筋痛は訴えず、転院してから悪化していた。側頭動脈炎・リウマチ性多発筋痛症も疑っていたので、筋痛については評価したはずだが、よく覚えていない。成人スチル病を疑うような出没する皮疹があたったが、皮膚筋炎に典型的な皮疹はなかったはずだ。

 まあ診断力がなかったということだ。紹介した先がリウマチ膠原病科ということだけが正解だった。見る人が診れば、すぐにわかるのだろう。現在はプレドニン5mg/日で症状は治まっている。炎症反応は陰性だった。今もそのリウマチ膠原病科に半年に1回通院していて、普段は通院が大変なので、市内の内科医院に通院している。

 

 さて下痢だが、通院している内科医院で検査したり、外来で点滴をしたりした。下痢が続くので、今日は紹介状なしで自分で当院を受診していた。発熱はない。腹部は平坦・軟で、下腹部の正中から左側に軽度の圧痛がある。

 脱水症からくるものか、軽度腎障害があった。通常の感染性腸炎としては期間が合わない。といってアメーバ赤痢などを考えるようなことは何もなかった。下痢はまったくの水様便で、血便はなく炎症性腸疾患は否定的だが、可能性は残る。

 単純CTで見る限り、大腸癌を含めて腹部悪性腫瘍は指摘できない、ただCEAとCA19-9 が軽度に上昇していた。炎症反応はまるっきり陰性だ。

 内科医院は息子さんが消化器科なので、上下部内視鏡検査を積極的に行っている。症状が出る前だが、昨年の上部消化管内視鏡検査は異常なかった。今回下部消化管内視鏡検査を行なおうとしたが、痛くて中止になったそうだ。この方は8年前に当院の消化器科で大腸ポリープの内視鏡治療を受けたことがあり、痛みを訴えるのでドルミカムを使用したという記載がある。

 プレドニン内服の関係か、PPI(ランソプラゾール)が処方されていた。それまで多種類の内服薬があって、1週間前に減薬を指示されたが、PPIもやめていた。PPIによる顕微鏡的大腸炎の疑いがあるので、中止のまま経過をみることにした。抗菌薬を処方されたことは最近に限ってはないようだ。とりあえずは点滴と整腸剤で経過をみることにした。

 安定剤を使用して、前処置なしで直腸~S状結腸くらいを内視鏡検査する必要があるかもしれない。

 

コメント (1)
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