なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

また問題の糖尿病

2015年07月10日 | Weblog

 昨日の早朝に腰痛で33歳男性が救急搬入された。数日前に急性腰痛症(ぎっくり腰)で整骨院に通院していた。その日はトイレに行って急に腰痛が悪化して動けなくなったそうだ。当直医は外科医で鎮痛剤を使って朝に経過をみて、整形外科に入院治療が依頼された。搬入時の血糖が380mg/dl・HbA1c12%と明らかな糖尿病だったので、整形外科から内科に治療依頼がきた。

 なんでも15歳から糖尿病で、治療は断続的に受けていた。最後は近くの内科医院(糖尿病専門医)に通院していたが、昨年から中断していた。その医院に診療情報提供を依頼(FAXで)すると、そこには一昨年から昨年3月まで半年くらいの通院だった。受診時はHbA1c12%で、中断前は10%だった。1年以上前のことなので、情報提供と言われても困るだろう。治療は25ミックス2回打ちからインスリン強化療法(ノボラピッド+トレシーバ)になっていた。病名は糖尿病とのみ記載していた。メトホルミンなどの経口血糖降下薬が入ってないのが気になった。

 15歳発症ということで1型?とも思ったが、これだけ中断しても無事だったので違うのだろう。尿ケトン体は(+-)で、血液ガス分析でpH7.39とあまり問題なかった。腰痛で入院しなければ、糖尿病で受診する気はないので、中断続行だったはずだ。両親が糖尿病で、2型糖尿病が早期に発症したものと判断される。抗GAD抗体と血中Cペプチドの結果は来週になる。腰痛で動けなくなっての入院なので、身長体重は測定されていないが、メタボ体型だった。治療はヒューマリンRのミニスライディングスケールで開始したが、今日の空腹時血糖が300台だったのでトレシーバも併用にした。

 来週抗GAD抗体と血中Cペプチドの値を確認して、治療をどうするか検討することにした。患者さん自身にあまり病識がなく、奥さんも病室に食べ物を持ってくるという。Cペプチドが正常~高値であれば、インスリンで脂肪を増やすよりも、GLP1受容体作動薬とメトホルミンが理想的なのだろう。

 糖尿病専門医の医院には行きたくないという。その先生は穏やかな紳士なので、問題があるとすれば患者さん側と思われた。今回の受診をきっかけに、治療に取り組んでほしい。今の調子で中断を繰り返していると、40歳代・50歳代で血液透析・失明・心筋梗塞・脳梗塞が待っているが、わかっていないようだ。自宅の近くに当地域の基幹病院があって、そこの糖尿病専門医に紹介するがいいのかもしれない。行く気があればだが。

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