なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

肺空洞性病変

2015年07月28日 | Weblog

 1週間前に内科医院から79歳男性が糖尿病の血糖コントロール不良で当院内科新患に紹介された。外来を診ていた内科の若い先生から相談を受けた。

 この患者さんは、リウマチ性多発筋痛症でプレドニンを内服しているが、もともとあった糖尿病が悪化してHbA1cが以前の6.8%から9.5%になっていた。DPP4阻害薬など経口血糖降下薬はすでに処方されていて、ステロイド糖尿病の要素が加わっての悪化だった。このくらいなら、持効型インスリンを追加してBOTで経過を見ることにした。

 問題はその日から38℃の発熱があったことだった。発熱以外の症状がなく、原疾患の悪化(側頭動脈炎の併発など)はなさそうで、感染巣は不明と思われた。白血球数12400、CRP1.1と細菌感染症の初期?と思われた。さらに検索すべきだったが、(つい?)レボフロキサシン500mg内服で経過をみることにした。

 内服4日目から発疹が出たが、そのまま内服して1週間後の今日受診した(予約日)。40℃の発熱があり、胸部X線を再検すると右肺に空洞性病変を認め、結核の疑いがある患者さんということで相談された。先週の胸部X線を見直すと、右肺に空洞が見えた。今日は胸部CTも行ったが、空洞壁が厚くなり、周囲にair bronchogramを伴う浸潤影を認めた。白血球数11400、CRP10.8だった。

 肺炎にしたは変化が速すぎると思われる。肺全体に気腫性病変があり、空洞というよりは大き目の気腫性病変というべきなのか。通常の細菌性肺炎の起こり始めから進行したところを見ているような気がする。

 レボフロキサシン投与はまずかったことになるが、逆に言うと結核だったら一時的に多少効くのでこの経過は変だろうとも言える(変な表現になるが)。細菌性肺炎としてもレボフロキサシン投与で悪化したのはなぜなのか。たまたま感受性がなかったということか。

 酸素飽和度も含めてバイタルに問題はないので、普通に肺炎として抗菌薬を投与して経過をみることにした。セフトリアキソン2g/日で開始する。抗酸菌塗抹は陰性だった。糖尿病はインスリン強化療法で対応する。

 (左端は1週間前の胸部X線、その右は本日の胸部X線とCT)

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