なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

むしろ腹水

2015年07月02日 | Weblog

 施設に入所していた77歳男性が誤嚥性肺炎疑いで紹介されてきた。今月初めに入所したばかりだった。大酒家でアルコール性肝硬変がある。今年3月に発熱と腰痛で救急外来を受診して、腰椎(L3-4)の化膿性脊椎炎と診断された。幸いに8週間抗菌薬を投与して治癒した(整形外科に入院したが抗菌薬の指示は内科で出していた)。

 娘さんと二人暮らしで、元気な時は娘さんの電車通勤の送り迎えをしていた。朝に送って行って、昼にちょっと飲んで、少し醒めた頃にまた迎えに行くという生活だった。日中は飲まないで、せめて午後7時ごろに帰る娘さんを迎えに行ってからちょっとだけ飲むように勧めてはいた。本来は禁酒だが、楽しみがほかにないので絶対に飲酒はやめないと宣言していた。

 前回の入院で認知力低下が進行して(もともと認知力は低下していたようだが)娘さんのいない日中に自宅で一人では過ごせなくなった。以前から申し込みをしてたらしく、退院して直接施設に入所できた。これで飲酒できなくなるので、肝臓も安心かと思っていた。

 今回は3日前に嘔吐して、その後から発熱が続いていた。食欲も低下して、昨日から酸素吸入(1L/分程度)をしていた。胸腹部CTで見ると、左下肺に肺炎があるようだが、それほどではなかった。むしろ腹水が目立った。肝機能障害としてはAST・ALTは正常域にあるが、血清ビリルビンが若干高い。血清アルブミンが低い。肝細胞癌はなさそうだ。外来にひとりで通院(もともと腰痛持ちで病院内は車椅子を動かして移動)していたころと比べると、やせて大分衰弱している。なんだか肝硬変末期の雰囲気がある。

 施設内で不穏があって、暴言と、筋力はあまりないのであまり怖くはないが暴力行為があったという。介護衣を着せられていたそうだ。施設の看護師さんから病棟の看護師さんが申し送りを聞いて対策を考えていた。今のところは大人しく点滴を受けていた。娘さんが病院に来たので、肺炎は軽度だが肝硬変・腹水があり、入院期間がどのくらいになるか予想しがたいことを説明した。

コメント (1)
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