なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

経鼻胃管による経管栄養

2015年07月01日 | Weblog

 誤嚥性肺炎で入院した83歳男性は脳梗塞による嚥下障害で経口摂取できないと判断された。この方は45歳ごろに胃切除術を受けていて、内視鏡的胃瘻造設は困難だった。

 一昨年にラクナ梗塞程度の脳梗塞で入院したが、MRAで見ると両側の内頚動脈がほとんと閉塞しているように見えた。どこが詰まってもおかしくないと思われたが、入院中に内頚動脈領域の広範な(しかもまだらな)脳梗塞になった。さらに慢性硬膜下出血も出現して、増悪した。脳外科医に相談したが、脳梗塞の範囲が大きく、全く発語もできない状態だったので、手術適応なしと判定された。バイタルは血圧は低めだが安定していた。高カロリー輸液にして、そのまま経過をみるしかなかった。1か月後に少しずつ硬膜下血腫は吸収されていった。びっくりするくらいの脳梗塞の範囲からみて、改善は望めず、このまま高カロリー輸液で継続して、療養型病床のある病院に紹介するしかないと判断された。胃切除術後で胃瘻造設はできず、さらなる脳梗塞再発も危惧された。

 それが3~4か月過ぎたころから、はっきり開眼して、表情も出てきた。笑うようになった。口腔ケアをすると水を吸うようになった。ゼリー食から開始してみると、少しずつ嚥下できた。ゆっくりと食事形態を上げていって全粥刻み食とろみ付きが摂取できるようになった。数語の簡単な会話もできるようになった。結局6か月入院して、老人保健施設に入所した。すぐに誤嚥性肺炎で再入院するかと予想されたが、案外無事に過ごした。今年の4月に胆嚢結石・急性胆嚢炎で入院して、久しぶりに会った。退院時よりは表情が乏しくなり、発語も減ってはいた。それでも何とか外科で胆嚢摘出術を受けた退院した。 

 5月中旬に誤嚥性肺炎で入院して、そろそろ経口摂取は難しいかと思われたが、辛うじて経口摂取できて退院した。退院したが、ムセが多くなっていた。喀痰吸引できる施設なので、痰を引いて経過をみていたが、酸素飽和度が低下して病院に連れてきた。肺炎自体は軽度だが、経口摂取は無理と判断された。抗菌薬投与後に、経鼻胃管による経管栄養を始めた。行うとすればPTEG(経皮食道胃管挿入術)だが、当院では経験がない(探して紹介すべきなのかもしれないが)。経鼻胃管による経管栄養は今時珍しい。最後に行っていたのはいつか思い出せない。

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