なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

ジェファーソン骨折(環椎破裂骨折)

2015年07月17日 | Weblog

 昨日の午前中病棟で指示を出していると、外来で内科再来を診ているはずの内科の若い先生が、あわただしくナースステーションに入ってきた。「ぽっきり折れている」と言う。入院していた85歳男性が夜間にベット柵を乗り越えて下に転倒したそうだ。

 陳旧性心筋梗塞・うっ血性心不全で循環器科に、脳梗塞後遺症で神経内科に通院していた。腎機能障害があって、血清クレアチニンが1.5~1.9程度で推移していた。今回は食欲不振が続いて(暑さのせい?)、脱水傾向になり、血清クレアチニンが2.7になっていた。2日前に内科で脱水症として入院して、1日500ml2本の点滴で回復してきていた。入院すると認知症の不穏が目立ち、注意はしていたようだ。ベット柵の上から落ちると結構な高さがある。

 後頸部を痛がっていた。頸胸部CTで頸椎を確認すると、環椎の右前弓と後弓が骨折していた。四肢・体幹の症状はなかった。放射線科の読影レポートにJefferson骨折とあった。脊柱管は保たれている。環椎破裂骨折は外側に広がるため、頚髄損傷はあまりきたさないそうだ。整形外科コンサルトで、頚椎カラーで経過をみることになった。これは初めて見た。

 

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感染性心内膜炎

2015年07月17日 | Weblog

 83歳女性が一昨日の夜間に39℃の発熱で救急外来を受診した。その日は内科当番だったので、当直の神経内科医から電話が来て、肺炎と思われるので入院させたいという。内科入院として、ユナシンSの点滴静注をお願いした。翌日胸部X線・CTを確認すると、明かな肺炎とはいえず(背側陰影?は重力の問題)、患者さん自身咳や痰はないという。尿路感染症・胆道感染症も否定的だった。

 話を聞くと、5月から歯科で断続的に7本抜歯したという。処置の時に抗菌薬(経口)は処方されていたらしい。まあ、普通出すでしょう。ご本人も認める通り、末梢血管が見えにくい人だった。点滴してない方の上肢は、肘静脈が辛うじて見える。看護師さんが採血したが、10mlちょっとで止まってしまった。取れた分だけ血液培養に提出した。嫌気ボトルにちょっとだけ入れて大部分は好気ボトルに入れる。あとは動脈から取るしかなかった。部位的に好ましくはないが、仕方なく両側の大腿動脈から20mlずつ採血した。

 胸骨右縁第2肋間に収縮期雑音が聴取されるが、CTでみても大動脈弁が石灰化していて、加齢による大動脈弁狭窄によるものだ。新規の心雑音があるかどうか判断できない。循環器科(大学病院からの応援医師)で心エコー(経胸壁)を依頼したが、そもそも肥満体型でpoor studyとあり、明らかな疣贅は指摘できませんということだった。

 今日細菌検査室から報告があって、血液培養3セットからグラム陽性球菌が検出されたという。抜歯後の感染性心内膜炎でいいようだ。起炎菌確定までは日数がかかるが、連休明けには判明するだろう。抗菌薬は昨日からセフトリアキソン1g2本の点滴を始めていて、解熱していた。とにかく末梢静脈からの点滴が大変なので、1日1回で済むようにしなければならない。生食ロックがきびしければ、毎日手背静脈に抜き刺しになってしまう。今日右肩関節の痛み(運動時)と右背部痛(筋肉痛)を訴えていたが、これは化膿性ではないと思う。経食道心エコーを行えれば、疣贅を証明できるのかもしれない。

 この前、抜歯後の感染性心内膜炎で入院していた80歳代女性は、血液培養でStreptococcus bovisが検出されて、4週間のセフトリアキソンで治癒した。今回は何が出てくるか。

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