なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

内耳性めまいには違いない

2015年07月08日 | Weblog

 54歳男性が月曜日の早朝に回転性めまいで救急搬入された。日曜日の当直(宿直)だった循環器科医が診察して、頭部CTで異常がないのを確認して、良性発作性頭位性めまい(BPPV)として内科で入院させた。月曜日に病院に来ると、めまいの患者さんを入院させたので後はよろしくと言われた。

 病室に診に行くと、両眼にタオルを当てて仰臥位になっていた。目を開けると回転性めまいが起きて持続するという。無理に開眼してもらうと水平性の眼振を認めた。この方は夫婦でコンビニ(OOストップ)を経営している。午前2時ごろに夜食を食べて、携帯電話を見ていたら急に回転性めまいが出現した。特に、起立したわけでも、振り向いたわけでもない。携帯電話を見るのに多少下を向いたかもしれないが。頭痛はなく、耳鳴が以前からあって変化はなしで、難聴もなかった。明らかな神経症状はない。楽になりそうな体位をいろいろ試したが、動いたせいでかえってめまいはひどくなって、嘔吐した。

 じっとして動かなくてもめまいが持続しているのでBPPVではない。前庭神経炎なのだろうかと思った。上気道感染の先行はないが、前庭神経炎の半数程度にしかないらしい。耳鼻咽喉科外来の先生(外部からの応援医師)に診てもらったが、前庭神経炎?ということだった。その後に頭部MRIも行ったが、小脳脳幹梗塞はなかった。内耳性めまいには違いない。

 翌日には回転性めまいは軽減して、浮遊感になった。嘔気は治まり、食事摂取できるようになっていた。3日目の今日はさらに軽快した。食事は全量摂取できるので、点滴は今日までで終了とした。患者さんから、めまいの注射(メイロン)はどうなりますかと訊かれたので、めまいでいつも使ってはいるものの、実は効果は疑問なので中止しても問題ありませんと伝えた(変な説明だ)。ちょうど病室に奥さん(高血圧症で外来に通院中)が来たので、退院をいつにするか相談した。家に戻っても自宅静養にならないので、しっかり治るまで入院させてほしいという希望だった。

 誤嚥性(たぶん)肺炎で入院したアルコール性肝硬変で腹水貯留のある77歳男性は、約1週間の抗菌薬投与で解熱軽快した。入院時に喀痰吸引した時に、コーヒー残差様の吐物が引けたこともあり、上部消化管内視鏡検査を行った。軽度の食道静脈瘤Li・F1-2・RC(-)と胃粘膜の浮腫・出血性びらん散在を認めた。空腹を訴えたので、食事を出したら、案外ムセもなく8割の摂取だった。細菌性腹膜炎だった可能性も否定はできないが、腹痛・腹部圧痛がなく(ないこともあるが)、明らかな感染巣(肺炎)があったので、今回は違うようだ。どうでもいいことですが、個人的にはSpontaneous bacterial peritonitis(SBP)の訳は特発性より原発性が好みです。

コメント
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