Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

世田谷パブリックシアター『ロマンス』 A席3階中央

2007年09月28日 | 演劇
世田谷パブリックシアター『ロマンス』A席3階中央

前回観たのが8月22日ですから1ケ月以上ぶりの2回目の観劇です。前回とても楽しくて追加で取ったチケットです。前回拝見した時にすでにかなり完成されていると思ったお芝居でしたが、そこからまたまた進化していてビックリしました。役者同士、非常にまとまりがよく楽しそうに演じていながらも、かなりのガチンコ勝負。天井桟敷からの観劇でしたが、皆さんすごいパワーでした。またそれぞれのキャラクターに幅と深みが出ていました。そして、前回感じた「喜びと哀しみ」が増幅されていて、喜劇と悲劇は裏腹なのだと胸に響きました。生きることの哀しみ、だからこそ「笑い」を作らなければいけないのだと。本当に素敵なお芝居でした。

今回目を惹いたのは松たか子ちゃん。大竹しのぶさんに押され気味だった松たか子ちゃんが、相当な成長ぶりを見せていました。マリアの誠実さと兄を生きがいにしてしまった女性の哀しみが切ないまでに伝わってきました。切ない台詞のシーンはなんとなくお兄さんの染五郎さんを彷彿させた。この兄妹は、切ない台詞を言わせたら絶品ですねえ。それと体の動きがなんと美しいこと。天井桟敷からだからわかったのかも。

またそのマリア@松たか子ちゃんの成長ぶりにまだまだ余裕で受ける大竹しのぶさんが本当に素晴らしい。緩急豊かな芝居と深みのある台詞。さすが、というしかないですね。

そして男優陣、井上芳雄、生瀬勝久、段田安則、木場勝己の四人がそれぞれ自分も持ち味をフルに発揮。井上芳雄さんの素直な芝居、生瀬勝久さんのユーモラスで線の太い芝居、段田安則さんの繊細で背筋の通った芝居(段田さんのチェーホフが一番、前回より変化がありました)、木場勝己さんの暖かく懐の深い芝居、それぞれに見応えがありました。素敵な時間をありがとう、と言いたいお芝居でした。

公演情報:
こまつ座&シス・カンパニー公演 「ロマンス」 世田谷パブリックシアター

作/井上ひさし
演出/栗山民也
音楽/宇野誠一郎
衣裳/前田文子
振付/井出茂太
ピアノ演奏/後藤浩明

出演/
大竹しのぶ (オリガ・クニッペル/他)
松たか子 (マリヤ・チェーホワ/他)
井上芳雄 (チェーホフ少年/他)
生瀬勝久 (チェーホフ青年/他)
段田安則 (チェーホフ壮年/他)
木場勝己 (チェーホフ晩年/他)


1 コメント

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Unknown (もこもこ)
2007-10-01 22:52:36
ご一緒したときもずいぶん良いお芝居、と思いましたが、進化してましたか。至福の時間ですね。
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