Snowtree わたしの頭蓋骨の下 *鑑賞記録*

舞台は生もの、賞賛も不満もその日の出来次第、観客側のその日の気分次第。感想というものは単なる個人の私感でしかありません。

世田谷パブリックシアター『ロマンス』S席2階下手

2007年08月22日 | 演劇
世田谷パブリックシアター『ロマンス』S席2階下手

世田谷パブリックシアターにこまつ座&シス・カンパニー公演『ロマンス』を観に行きました。ロシアの作家、アントン・チェーホフの人生を描いた作品。大きなドラマがある芝居ではないですがとっても洒落ている楽しくて暖かい芝居でした。井上ひさし氏のボードビルを愛したチェーホフに対する敬愛の念がストレートに伝わってきて、なんとも素敵なものになっていました。

また個人的に19世紀ロシア文学、19世紀のロシアの社会情勢、というものが戯曲のなかに上手く取り込まれ昇華されているのに感動。ちょうど19世紀ロシア文学を意識したロシア文学、ソローキン『ロマン』を最近読んだばかりだったので、その19世紀ロシアというもの、そして文学(テキスト)というもののあり方の提示が表裏でlinkしていているように感じ、井上ひさし氏の才能に改めてビックリした私でありました。


公演情報:
こまつ座&シス・カンパニー公演 「ロマンス」 世田谷パブリックシアター

作/井上ひさし
演出/栗山民也
音楽/宇野誠一郎
衣裳/前田文子
振付/井出茂太
ピアノ演奏/後藤浩明

出演/
大竹しのぶ (オリガ・クニッペル/他)
松たか子 (マリヤ・チェーホワ/他)
井上芳雄 (チェーホフ少年/他)
生瀬勝久 (チェーホフ青年/他)
段田安則 (チェーホフ壮年/他)
木場勝己 (チェーホフ晩年/他)

2 コメント

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Unknown (もこもこ)
2007-09-11 18:48:46
今日9/11の朝日新聞夕刊に、シェークスピアソナタの劇評と井上ひさしさんのロマンスに対するコメントが載っています。どちらも納得。ぜひご覧くださいな。
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読みましたよ~ (雪樹)
2007-09-12 10:49:47
もこもこさん、私もその記事、読みました~。「シェークスピアソナタ」の劇評、私も納得。岩松さんの脚本の企みを端的に書いてくれていましたよね。

井上ひさしさん、やっぱり途中から脚本の方針を変えたんですねえ。最初の予定のオリガとマリアの丁々発止の芝居も観たかったような気がしますが、今回の「ロマンス」の楽しげでちょっと切ない芝居も素敵でしたよね。

それにしてもこうやって話題になる芝居に出てる高麗屋一家もすごいですね。今月も全員、舞台に立ってますからねえ。
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