読書日和

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「サマーウォーズ」著:岩井恭平 原作:細田守

2012-07-28 17:36:31 | 小説


「おおかみこどもの雨と雪」の流れでこちらも読んでみました。
今回ご紹介するのは「サマーウォーズ」(著:岩井恭平 原作:細田守)です。

-----内容-----
小磯健二は、憧れの先輩・篠原夏希に、「4日間だけフィアンセの振りをして!」とアルバイトを頼まれ、長野県の田舎に同行することに。
夏希の曾祖母を中心にご親戚に囲まれながらも、大役を果たそうと頑張る健二のもとに、謎の数列が届く。
数学が得意な彼は、夢中で答えを導きだすが、翌朝世界は一変していた。
世界の危機を救うため、健二と夏希、そして親戚一同が立ち上がる!
熱くてやさしい夏の物語。

-----感想-----
もともと先日テレビで放送された映画「サマーウォーズ」を見ていたので、読んでいてとてもイメージがしやすかったです。
それにしても憧れの先輩・篠原夏希に「4日間だけフィアンセの振りをして!」と頼まれる…何と素敵なアルバイトでしょうか(笑)
しかし物語はフィアンセの振りで終わるようなものではなく、サマーウォーズ、まさに夏の戦争へと発展していきます。
これはOZ(オズ)という電子ネットワーク上の仮想世界を舞台にした、一夏のネット戦争の物語。
そして夏休みに集まった篠原夏希の「ご親戚」総勢29人もの人々が登場するファミリードラマでもあります。

陣内(じんのうち)家という、戦国時代から数百年以上続いている家の16代目の当主・陣内栄の90歳の誕生日を祝うため、個性豊かな面々が長野県にある陣内家に大集合
夏希は「大おばあちゃん」に当たる陣内栄に「フィアンセを連れていく」と約束してしまっていて、その役を健二に頼んだのでした。



そんな中、陣内家にて必死にフィアンセの振りをして頑張る健二の携帯に謎の数列が綴られたメールが届きます。
不審に思いながらも、数学オリンピックにあと一歩で出られるほど数学が得意な健二はその数列を解いてみることに。
見事解答を導き出した健二はOZ(オズ)を用いてメールの送り主に解答を送ります。
すると携帯には「thank you!」の着信メールが。
訳が分からず、ただのイタズラだろうと結論づけて眠りについた健二でしたが。。。翌朝、世界は一変していました。
なんとOZ(オズ)の世界が大混乱。



健二が解いた謎の数列は、OZ(オズ)のセキュリティシステムの管理センターに潜入するためのパスワードだったのです。
それを使ってOZ(オズ)管理センターに潜入してシステムを乗っ取り、OZの世界で大暴れを始めたのが通称「ラブマシーン」と呼ばれるAI(人口知能)。
自分で考える力を持ち、「混乱」を作り出すことで成長していきます。
OZは今や登録者が世界中で10億人を超えるほどの超大規模ネットワーク仮想空間なだけに、各地で大混乱が起こります。
何しろOZで何でもできる今、コンピューターを使う施設のほとんどがOZを導入しているのです。
水道局員のOZアカウントが盗まれれば水道局の管理システムを好きにされてしまうし、JR職員のOZアカウントが盗まれればJRのダイヤも滅茶苦茶に変更されてしまいます。
便利になりすぎた世の中が裏目に出ているような感じで、ネット世界の危うさもこの作品のテーマの一つになっているなと思いました。



OZにおける超有名なアカウント「キング・カズマ」でも「ラブマシーン」との対決に敗れ、もはやOZの混乱は拡大する一方かと思ったその時、陣内家の人間が立ち上がる
特に16代目当主の「大おばあちゃん」こと陣内栄が大活躍、各界の著名人に顔が効く栄はOZによる各地の大混乱の収束のために尽力してくれます。
また陣内家の親戚の面々は総勢29名にも及ぶので、小説の最初にある「家系図」が大変役に立ちました。
名前が出てくるたびに「えっ、この人誰だっけ」となり、家系図を見て確かめていました。
それを繰り返していくうちにだんだん陣内ファミリーの個性豊かな面々を把握できるようになりましたね^^

やがてOZによる現実世界での混乱は一段落しますが、まだOZの中では「ラブマシーン」が暴れています。
「キング・カズマ」でも勝てなかったこの最強のネットモンスター相手に対抗するすべはあるのか?
そこは戦国時代から現在まで続く陣内家、かつて徳川の精鋭を相手に戦ってきたとされるご先祖様の兵法でもってラブマシーン撃退の策を練ります。
かくしてOZというネットワーク上の仮想世界を舞台にした戦い、「サマーウォーズ」はいよいよ激化
先に映画を見ていただけに、読みながらOZにおけるあのド派手な戦い、そして終盤では美しき戦いが鮮烈に甦ってきました。
夏希の花札勝負とかはルールは知らなくともかなり見応えがありました。
非常にスピード感を持って読める小説なので一気読みにも向いています
最強のネットモンスター「ラブマシーン」との行き着く暇もない戦い、そして陣内家の個性豊かな面々、どちらも小説でも映画でももう一度見てみたいなと思える楽しさがありました


※スピンオフ作品「サマーウォーズ クライシス・オブ・OZ」のレビューをご覧になる方はこちらをどうぞ。

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コメント
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