晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

「散り椿」(18・日 )75点

2018-11-01 11:53:02 | 2016~(平成28~)



・ 移り行く美しい日本の四季を背景にした本格時代劇。

昨年逝去した葉室麟の原作を、小泉堯史が脚本化、撮影監督の大御所・木村大作が監督も兼ねた本格時代劇。主演は今や時代劇の顔となった岡田准一。共演西島秀俊・黒木華・池松壮亮など今旬な若手に奥田英二・富司純子・石橋蓮司らベテラン脇役陣が顔を揃え、ナレーターを豊川悦司が務めている。

享保15年扇野藩の不正を糺そうとした瓜生新兵衛(岡田准一)が病弱の妻・篠(麻生久美子)の最後の願いを聞き届けるため故郷へ戻る。善き友で因縁の相手・榊原采女(西島秀俊)と対峙した新兵衛は、篠の一途な想いを知ることになる・・・。

鮮血が噴き出す鮮烈な殺陣、岡田自身が考案した散り椿を背景にした新兵衛と采女の決闘シーン。
五色の「八重散り椿」・「龍虎図」など長谷川等伯の屏風を使用した豪華な美術。
眼目山立山寺の並木道などの風情ある富山・彦根・長野などふんだんにあしらったロケ地。
佇まい・セリフ回しに拘った演技。

アニメやCGで時代を超越した時代劇が主流の昨今、黒澤明のカメラ助手だった木村とADだった小泉のコンビによる本作は時代劇の本流を多分に意識した拘りとオマージュが窺える。

俳優陣では岡田の武骨だが一途な男、麻生・黒木の姉妹が時代劇的風情、富司・奥田・石橋のベテラン・トリオの存在感が光る。
池松壮亮は重要な役柄で頑張ったが台詞が時代劇向きではなく、ミスキャスト。平山道場主の柳楽優弥にやって欲しかった。

エンディング近くでの唐突なカット割りや采女の母・滋野(富司純子)の篠への感情はどちらだったのか?など破綻が気になった。 派手さはないが、TVでは果たせない贅沢な時代劇を堪能した。