晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『天使にラブ・ソングを…』 80点

2013-01-06 12:19:57 | (米国) 1980~99 

天使にラブ・ソングを…

1992年/アメリカ

シスター姿のウーピーがゴスペルで元気の素を創ってくれる

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shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★☆☆70点

キャスト ★★★★☆80点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆75点

音楽 ★★★★☆85点

スピルバーグ監督の「カラーパープル」(85)でデビューして「ゴースト/ニューヨークの幻」(90)でオスカー(助演女優賞)受賞したウーピー・ゴールドバーグの代表作。本国で大ヒットロングランしたのも何度も繰り返して観るヒトが多いのも頷ける、ハッピーなミュージカル・コメディ。
ネバダ州リノのクラブ「ムーンライト」のしがない歌手デロリス。クラブ経営者で愛人でもある地元の顔役ヴィンスが殺人現場を偶然目撃し、修道院に匿ってもらったのがキッカケで、聖歌隊の指揮者となり大活躍。
ウーピーの人気を不動にしたデロリス役は子役時代から演技をしてきた彼女の集大成でもあってはまり役だ。とくにシスター姿でゴスペルを歌う彼女に真骨頂を観た想い。
敵役のハーヴェイ・カイテル役は意外な気もするが、さらりと演じていて引き立て役に徹している。秀逸だったのは修道院長役のマギー・スミス。ある意味では敵役でもありながら良き理解者で、ハリー・ポッターの副校長をしたのもこういう役がぴったりだからだろう。陽気なパトリック、内向的でおとなしいロバート、元指揮者のラザラスなどシスターたちの配置も絶妙。歌うだけのシスターたちの何と楽しそうなことか。観ているだけでハッピーな気分にさせてくれる。
「サウンド・オブ・ミュージック」のゴスペル版でもあるが、とても後味の良い作品に仕上がっている。手堅く纏めたエミール・アルドリーノ監督にもう少し作品を残して欲しかった。


『JFK』 80点

2013-01-03 15:30:47 | (米国) 1980~99 

JFK

1991年/アメリカ

あまりにも有名な事件を、断定しドラマ化した勇気

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 80

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆80点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆80点

20世紀アメリカ最大の事件、63.11.22テキサス州ダラスで起きた第35代大統領ジョン・F・ケネディ大統領暗殺。3年後、事件をもとにニューオーリンズ地方検事ジム・ギャリソンが起こした<クレイ・ショー裁判>をオリバー・ストーンがドラマチックに脚本化して監督した問題作である。あまりにも有名な事件を証言をもとに大胆な予測をして3時間9分に纏めたこの作品は、作品の出来より映画化の是非を巡って公開前からメディアに取り上げられた。そのため米国内では公開が限られたが、日本を始め海外では大評判を呼んだ作品でもある。
<クレイ・ショー裁判>とは、地元の名士で実業家のクレイ・ショーがCIA局員で暗殺実行の黒幕であることを告訴し、事件はオズワルド単独犯だというウォーレン委員会に異論を唱え、真相はもっと国家的なレベルだということを主張するもの。暗殺のドキュメントフィルムが何度も流れまるでノンフィクションを観るようなリアル感とともに、まさに事件を解明するような状況証拠を見せられるとこれが真相かと思わせる説得力がある。
キャストも豪華で主人公ギャリソンにケヴィン・コスナー。家庭を犠牲にして真相解明に没頭する熱血検事役はうってつけ。「アンタッチャブル」(87)でスターダムに上り、「フィールド・オブ・ドリームス」(89)・「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(90)と立て続けにヒットを飛ばしていた彼の全盛期だけに最後の熱弁は裁判シーンでも最も長い名シーンともいえる。ハリソン・フォード、メル・ギブソンと候補が上がりながら没になったのを彼が射止めたのも勢いが買われてのことだろう。皮肉にもこのあとは「ボディ・ガード」以外ヒット作がなくラジー賞を受けるなど恵まれていないのも何かの因縁だろうか?
反対に容疑者役のトミー・リー・ジョーンズはこれを機に作品に恵まれ大スターへと歩んでいった。ほかにもいつも特異な役でインパクトのあるジョー・ペシがここでも事件のキイを握る怪しい役で登場。なにしろ神父志望の元パイロットでオズワルドの教官のデヴィッド・フェリー役。反共産主義者でカツラを被ったホモで謎の死を遂げるという怪しさは彼以外こなせそうもない。
ほかにもオズワルド役にゲーリー・オールドマン。本人そっくりの風貌とともに謎の人物としてリアル感たっぷりだ。また私立探偵で真相を匿名で電話した主にジャック・レモン、真相を握る謎のXにドナルド・サザーランド、ウォーレン裁判に疑問を持つ上院議員にウォルター・マッソーなど豪華なベテラン陣が顔を揃えているがうっかりすると見落としてしまいそう。そしてギャリソン自身がウォーレンに扮して特別出演しているのもジョークの域を超えた話題づくりのひとつ。ギャリソン夫人役のシシー・スペイセクは善き家庭夫人として夫に仕える南部の妻で、この映画で唯一女性の視線で事件を捉える役割を果たしている。
公文書は2029年(下院暗殺調査委員会)まで公開されず、全資料が明らかになるのは39年だという。このドラマが何処まで真実か知る由もないが、これだけメディアを騒がせた作品なので<当たらずとも遠からず>と言うところか。歴史の渦中に入ったようなドラマだった。