晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
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『丹下左膳('58)』 75点

2013-01-13 12:27:44 | 日本映画 1946~59(昭和21~34)

丹下左膳('58)

1958年/日本

東映時代劇全盛期の大友左膳

プロフィール画像

shinakamさん

男性

総合★★★★☆ 75

ストーリー ★★★★☆75点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆75点

ビジュアル ★★★★☆80点

音楽 ★★★★☆75点

林不忘の原作、隻眼隻手のアンチヒーロー丹下左膳。戦前・日活の大スター、大河内傳次郎の当たり芸を大友柳太郎でリメイク。本作は<東映スコープ一周年記念で決定版>と銘打った娯楽時代劇で監督は松田定次。
将軍吉宗の時代、当主対馬守は司馬道場へ婿入りする弟・源三郎に贈った苔猿の壺に百万両の隠し場所があるのを知る。スリの与吉に盗まれた壺は丹下左膳の手に渡っていた。
幼いころチャンバラ・ごっこで遊んだ<姓は丹下、名は左膳>でお馴染みの左膳はハンデキャッパーながら剣の達人で明るいヒーロー。三味線の師匠・お藤と夫婦同様でちょび安という子供を可愛がっている。派手な着流しがかっこいい。大友は新国劇出身らしくオーバーなアクションで大型画面で気持ちよさそうに暴れまくる。競演陣がかなり豪華だ。柳生源三郎に大川橋蔵、許嫁・萩乃に美空ひばり、吉宗に東千代之介、大岡越前守に月形龍之介、お藤に長谷川裕美子それに本家左膳の大河内傳次郎が蒲生泰軒で新旧競演もある。
東映時代劇ファンなら誰でも知っている三島雅夫、薄田研二、山形勲、多々良純、左朴全などの脇役陣も勢揃い。なかでも敵役として美空ひばりにイイ寄る山形が本領発揮。
美空は得意のノドを披露する当時お馴染みのパターンを見せてくれるし名子役ちょび安の松島トモ子も鞍馬天狗の杉作と並ぶ名演技。美空が21歳で松島が13歳の頃とは信じられない。
歴代左膳では大河内が最も多く伊藤大輔・渡辺邦男・山中貞雄・三隅研次など名監督が手掛けている。大河内以外でも阪東妻三郎・中村錦之助・丹波哲郎などが演じ、最近では豊川悦司がスタイリッシュに演じている。
筆者の中学時代、画面いっぱいに繰り広げられる大型スクリーンの総天然色に感動しながら見入った頃が懐かしい。