晴れ、ときどき映画三昧

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『チェンジリング』 85点

2009-02-27 17:32:49 | (米国) 2000~09 

チェンジリング

2008年/アメリカ

冷静な描写・優しい眼差しで健在振りを示したC・イーストウッド

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆85点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆90点

ビジュアル ★★★★☆90点

音楽 ★★★★☆85点

’28LAで起きた史実をもとにしたC・イーストウッド監督、アンジョリーナ・ジョリー主演による2時間22分のサスペンス風人間ドラマ。
電話局で働くシングル・マザーのクリスティン(A・ジョリー)は息子・ウォルターの成長が生き甲斐。チャップリンの映画を観ると約束した日に急遽出勤するハメになり、戻るとどこにもいない。ロス市警に電話するが、子供の行方不明は24時間以内は捜索しないと断られてしまう。
タイトルの「チェンジリング」は子供の取替えを指す。5ヶ月後に警察が探し出したウォルター少年は7センチも背が低く、母親の直感は間違いないのに、ロス市警が自らの腐敗振りを挽回するために用意した替え玉だった。
物語は息子探しに奔走するヒロインを追いかける構成で進行するが、警察の無軌道な手口は憤満やるかたない。
当初プロデューサーはロン・ハワード監督を予定していたらしいが、イーストウッドファンとしては嬉しい限り。日本では喜寿と呼ばれるトシにも拘らず手抜きのない、丁寧で冷静な描写と優しい眼差しで健在振りを示してくれた。80年前の街並みの再現も凝り性の監督らしく隅々まで配慮されていて楽しめた。
A・ジョリーは実生活で4人の子持ちであることと母親を亡くした心労からやつれ果てていて、この役が心身ともに余人に替えがたい適役となった。
中盤から息子を可愛がる普通の母親から、社会の権力を押し退けて事実を知ろうとする芯の強い女へと変貌するさまを、見事に演じている。アカデミー賞の主演女優賞は逃したものの熱演振りはそれに相応しい。
脇役も地味ながら粒揃い。悪役として観客を敵に廻したジョーンズ警部(ジェフリー・ドノバシ)長老派協会のブリーグレブ牧師(ジョン・マルコビッチ)、犯罪を的確に判断したヤバラ刑事(マイケル・ケリー)も実在感溢れる描き方。脚本がジャーナリストだったJ・マイケル・ストラジンスキーだったのも影響しているのだろう。「失うものは何もない」といったクリスティンがひとすじの希望を見出すのを複雑な想いで観た。



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