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「サブウェイ・パニック」(74・米) 80点

2014-07-19 15:24:37 | 外国映画 1960~79
 ・ ユーモアで味付けされたスリル溢れるサスペンス。


               

 ジョン・ゴーディの原作を、TV界から「0011ナポレオン・ソロ 劇場版」(66)でデビューしたジョセフ・サージェント監督を起用して映画化された。地味なキャスティングが却って功を奏し、スリリングなサスペンスの佳作となった。

 主演したウォルター・マッソーの持ち味を充分活かした、ユーモア溢れる味付けがその要因。「おかしな二人」(68)などジャック・レモンとのコンビによるヒット作が最も印象深く、当時ブームだったパニックものとはかけ離れた存在だったが、本作はまさにはまり役だ。

 NYの地下鉄が4人の男にハイジャックされ、100万ドルの現金を1時間以内に持ってくるよう要求される。公安局の警部補ガーバーや市当局・警察がどう対処するのか?

 深刻な内容なのに、シリアスさよりコミカルな部分が随所に出てくるので極度の緊張感はない。4人の犯人の大胆な犯行に18人の人質をどう対処すべきかを巡って、NY市交通局内部の混乱ぶりや市長の動揺などが風刺的に描かれる。

 冒頭に出てくる東京の地下鉄重役4人の視察団は、当時の日本人感を風刺的に捉えた典型だろう。メガネ・カメラ、愛想笑い、お辞儀の連発など、日本人が見てあまり好い気持ちではない。冒頭でガーバーが案内役として指名され、NYの地下鉄が如何に安全かを伝える最中にハイジャック事件が起きるのは皮肉な出来事でもある。

 犯人たちは本名ではなくソレゾレ色の名称で呼ばれる。なかでもリーダーのミスター・ブルー(ロバート・ショウ)の冷徹かつ大胆な言動がガーバーたちを悩ませる。おまけに風邪気味のミスター・グリーン(マーティン・バルサム)は地下鉄の操作に詳しいし、ミスター・ブラウンは目立たないがグレイは切れやすそう。

 コミカルさは最後まで失わないが、終盤の地下鉄の暴走やタイムリミットでの相互の駆け引きは、なかなかスリリング。

 そして誰もが印象深く思うのはラスト・シーン。このために本作があるようなエンディングは今や伝説と化し、トニー・スコット監督、デンゼル・ワシントン、ジョン・トラボルタ主演のリメイク「サブウェイ123 激突」(09)も影が薄い。               


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