・ 建国200年記念、C・イーストウッド作品は共生がテーマの西部劇。
46歳になったクリント・イーストウッドの監督5作目で「建国200年記念」と銘打った西部劇大作。
<西部劇とジャズは米国が誇る固有の文化>というイーストウッドは西部劇スターの印象が深いが、実際は数多くの作品中たった9作しかない。それだけ記憶に残る作品が多いからか?
南北戦争の末期、農業で暮らしを立てていたジョゼイ・ウェルズ(C・イーストウッド)が、強盗団レッド・レッグ隊の襲撃に遭って家と妻子を失い復讐を誓う。
南軍に参加したが敗戦降伏せず5000ドルの賞金が懸けられてしまい、元レッド・レッグ隊で北軍大尉になっていたテリルや、賞金稼ぎらに追跡される。
負傷した若者ジェイミーと逃亡するが、先住民やカンザスからの移民など関わった環境・人種の違いを乗り越え、人間らしさを取り戻すというロードムービー。
135分を超える長編だが、フィリップ・カウフマンの脚本が決して飽きさせない。それぞれの出会いと交流がとても興味をそそりユーモアを交えながらの逃亡劇は、孤独なガンマンを本来の人情味ある人間へと変えて行く。
なかでもチーフ・ダン・ジョージ扮する先住民の老人ローン・ウェイティが人間味溢れる好い味を出している。
彼以外でも南軍のリーダーで北軍に騙され謀らずも追跡に加わったフレッチャー役・ジョン・ヴァーノ、カンザス移民の老女サラを演じたポーラ・トルーマン、先住民の娘リトル・ムーンライトのジェラルディ・キームスなど多士済々。
冒頭出ていたジョゼイの息子役には実子カイルが出演していたのも話題ひとつ。俳優としては大成しなかったが、のちにミュージシャンに転身し「グラントリノ」(08)の音楽を担当したのは記憶に新しい。
イーストウッドのお気に入りソンドラ・ロックも彩りを魅せていたが、違和感があったのは気のせいか?
勧善懲悪の西部劇が飽きられ一時不毛となりかけた西部劇は本作で息を吹き替えし、数は減ったものの21世紀の今日まで面々と続いて行く。
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