・ 一族の話をもとに米国へ移民した青年を描いた、エリア・カザン幻の名作。
「紳士協定」(49)、「欲望という名の電車」(51)、「波止場」(54)、「エデンの東」(55)など名作を送り続けてきたエリア・カザン。
トルコ育ちのギリシャ人である彼が、幼い頃聞いた一族の話をもとにした小説を製作・監督・脚本化した移民青年の青春ドラマ。
19世紀末トルコ政府によるギリシャ人・アルメニア人弾圧の最中。ギリシャ人・スタブロス(スタテス・ヒアレリス)はアルメニア人であるバルタン(フランク・ウォルフ)から聞いた自由の国・アメリカへの憧れを抱く。
このままでは立ち行かなくなると思った父・イザーク(ハリー・デイヴィス)から一家を救うためアメリカ行きを託し、ひとまずコンスタンチノーブルで敷物商を営む伯父・オデッセを頼る手紙を出して旅立たせる・・・。
道中出会ったトルコ人に騙され無一文になったり、伯父から無理やり金持ちの娘と結婚を勧められたりしながら港の運搬夫として働きアメリカ行きを目指すスタブロス。
その間純朴な青年が世間を知って少しづつ大人になっていくさまは、彼の一途な思いが周りの人々を動かして行く。金持ちの娘トムナ(リンダ・マーシュ)を裏切って渡航費を工面して貰うのは、かなり好意的な脚色がなされたことだろう。
モノクロ映像と「日曜はダメよ」で知られるマノス・ハジタキスの哀愁あるメロディが、この風景に沁みこんで行くようだ。
船中で素足でアメリカを目指すといっていたホハネスと遭遇。靴をあげたスタブロスの善行とホハネスの犠牲により、何とかアメリカ渡航の手助けとなる。
自由の女神がアメリカの象徴で、主人公を始めとする異国の移民たちが憧れたアメリカ。
カザンもその血を引く一人だが、「赤狩りの告発により、司法取り引きに応じた」暗い過去がある。この国で生きる大変さを知る羽目になった。
トランプ政権における移民問題が国を揺るがす自由の国はこれからどうなるのだろうか?
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