・ 等身大の独身女性を演じた松岡茉優が好演のラブ・コメ。
芥川賞作家綿引りさが2010年発表した小説を現代女性の心理描写を映像化するのを得意とする大九明子が脚本化・監督したラブ・コメディ。
映画初主演の松岡茉優が24歳のOL女性・ヨシカに扮し、お姫様願望のある等身大の独身女性の本音をリアルに演じながらも同性から共感を得られる恋愛喜劇になっている。
誰でも中学時代異性に興味を持つが、大抵はそのまま恋愛に育っていくことはない。ヨシカは上京してOLになっても10年も忘れられず脳内片想いを続けている。
会社での同期会に渋々出席して、纏わりついてくる男に理想と現実のギャップを目のあたりにする。
中学時代の片想い同級生を<イチ>(北村匠海)、面倒な会社の同期を<ニ>(渡辺大知)と名付け、心の内で行ったり来たりするヨシカ。
元お笑い芸人の監督は、タイミングよくクスクスとした笑いに変えながら、都会で暮らす若い独身女性の孤独感を伝えてくる。
突然ミュージカル風にヨシカが歌い出したり、金髪の店員、釣りをするおじさん、オカリナが好きなアパートの隣人、駅員、コンビニの店員などとの交流がトリックとして映像化されるところは新鮮な手法だ。
同時上映された「彼女がその名を知らない鳥たち」のヒロインを比較すると、蒼井優に対し松岡茉優の人物になりきった演技が光る。
阿部サダヲにあたるのが<ニ>に扮した渡辺大知。日本の平均的男子で欠点がアカラサマだが実は魅力的な人物を好演している。
孤独な現代女子へのメッセージが、共感をもって受け入れられそうなエンディングだった。
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