晴れ、ときどき映画三昧

映画は時代を反映した疑似体験と総合娯楽。
マイペースで備忘録はまだまだ続きます。

『太陽はひとりぼっち』 85点

2009-03-23 10:21:15 | 外国映画 1960~79

太陽はひとりぼっち

1962年/イタリア=フランス

イタリア・ネオ・リアリズムの代表的映像

総合★★★★☆ 85

ストーリー ★★★★☆80点

キャスト ★★★★☆85点

演出 ★★★★☆85点

ビジュアル ★★★★☆85点

音楽 ★★★★☆85点

ミケランジェロ・アントニオーニ監督の「情事」「夜」と並ぶ<不毛の愛・3部作>原題は「日食」。邦題は、アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」を意識したものだろうが、テイストはまるで違う。イタリア・ネオ・リアリズムの代表的映像で、都会の欲望と倦怠感を表現してカンヌ国際映画祭の審査員特別賞を受賞した。
ミーナの主題歌が途中で途切れ、突然不気味な管楽器に変りタイトルバックが流れる。重なるように冒頭は美しいカットが続き、花瓶が割れる異様に長いシーンとなって、これからの不安を暗示させ目が離せなくなる。
ヒロイン・ヴィットリアには監督お気に入りのモニカ・ヴィッティ。
何を尋ねても「わからない...。」という台詞が印象的で、無機質な都会で暮らす女性の焦燥と孤独感を良く表現している。とても知的で官能的だ。
対する証券取引所仲介人・ピエロのアラン・ドロンは都会の代表的な若者。美形だが、軽薄・冷淡で底が浅いブランド好きである。
閑散としたコンクリートの団地・横断歩道・殺伐とした公園・ドラム缶から流れる汚水。2人を取り巻く周囲の情景が、寂寥感たっぷり。アントニオーニの独特なフィルムアートの世界に惹き込まれる。
約半世紀前の作品なのに、株の大暴落による取引所での喧騒振りが、まるで現在の資本主義経済での社会不安を象徴するかのよう。バスから降りた男の新聞に掲載された核開発競争の記事が、しっかりと末来への警告となっている。



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