エヴァの匂い
1962年/フランス
容赦しない辛らつな女を演じたJ・モロー
総合 80点
ストーリー 75点
キャスト 85点
演出 80点
ビジュアル 85点
音楽 80点
ジャン・コクトーが主演のジャンヌ・モローに薦めたジェームズ・ハドリー・チェイスの小説を、赤狩りで米国を追放されたジョセフ・ロージー監督で映画化。当時34歳だったJ・モローが極めつけのファム・ファタールぶりで話題となった。
デビュー作が映画化され一躍有名になった作家テヴィアン(スタンリー・ベイカー)は、美しい恋人フランチェスカ(ヴィルナ・リージ)とヴェネチュア映画祭のパーティで次回作の期待で盛り上がっていた。その夜トルチェッロ島の自宅へ戻ると見知らぬ男女が勝手に上がり込んでいた。
女はエヴァ(J・モロー)といい、風呂上りでタバコを吹かしながらビリー・ホリデイの「WILL WEEP FOR ME」(柳よ泣いておくれ)を聴いていた。
出逢いから曰くありげな2人が、刹那的な享楽を繰り返し、その果てに大切なものを失い虚しさだけが残る。エヴァの<この世で一番好きなものはお金で嫌いなものは男..。次が年老いた女>と言う台詞が残酷。社交界の花形には不似合いな元炭鉱夫上がりで、能力のない惨めな男には、魅惑的な女のトリコになるのは必然だろう。
観ていて、こんな女に何で入れあげるのだろうか?と思うが、アダムとイヴの人類誕生から現在まで、男が破滅するのは宿命なのか?エヴァはイヴのフランス語名なのは遇然ではないような気がする。
J・モローは決して美人ではないしスタイルも良くないのに、一瞬のしぐさや表情に何ともいえない魅力がある。白いコートで歩く後姿に惹きつけられるが、ピエール・カルダンと浮名を流していた実生活を髣髴させる。
ロージー監督は、斬新な映像とクールな演出でJ・モローを引き立てる。お洒落なクールジャズを使ったミシェル・ルグランの音楽も聴きどころだが、チョッピリ耳障りなところも。
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