昼下がりの決斗
1962年/アメリカ
リアリズムと見え隠れするダンディズム西部劇
shinakamさん
男性
総合
75点
ストーリー
75点
キャスト
75点
演出
80点
ビジュアル
80点
音楽
75点
のちに「バイオレンスの巨匠」「最後の西部劇監督」と呼ばれたサム・ペキンパーの監督2作目。
カリフォルニアの鉱山で発掘された金の搬送人として雇われた元保安官スティーヴ。旧知のギルと再会した彼は助手のヘックと出発する。もう老境に入ったスティーヴとギルだが、どこか死に場所を探しているようなスティーヴとまだやまっけがあるギルでは目的が違うようだ。
のちに話題作を世に送り出したペキンパーもこの頃は出身であるTVの西部劇ディレクターだった名残りもあって、ド派手なアクションもバイオレンス描写もなくリアルな西部劇の風情。とはいえ従来の正統派とは違ってリアルで斬新なストーリーがマニアには高い評価を受けている。
ジョエル・マクリー扮するスティーヴは最後まで正義にこだわり、ランドルフ・スコット扮するギルは旧友との友情と裏切りが交錯する。若いヘックの恋人エルザの頑固な父との断絶、若さゆえの無謀な行動は現代風で従来の西部劇では描かれなかったシチュエーション。時代は保安官が警官に変わり、自動車や中華料理店など新しい文明が見え始め<些細なメンツで無意味な正義漢を発揮することの虚しさ>が伝わってくるような切なさを味わう。
西部劇には欠かせない銃撃戦はロングショットとフォーカスを交互に入れた緊張感を出す映像手法はリアリズムを意識したペキンパーならでは。紅葉が美しいセラネバダの山もダンディズムにこだわった主人公の描写には欠かせない。
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