バガー・ヴァンスの伝説
2000年/アメリカ
ロマンティズムを再現したスポーツ・ファンタジー
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 80点
演出 80点
ビジュアル 85点
音楽 80点
ゴルフを題材にした作品ではC・コスナーの「ティン・カップ」が思いだされるが、それとは対極的なスポーツ・ファンタジー。スティーヴン・プレスフィールドの原作をジェレミー・レヴィンが脚色している。ロバート・レッドフォード監督、ウィル・スミス、マット・デイモン、シャーリーズ・セロンの共演で名優ジャック・レモンの遺作としても記憶に残るが、画面全体に清々しいハリウッド流ロマンティシズムが溢れている。
レッドフォードはまず大恐慌直後の時代設定にこだわり天才ゴルファーといわれた若者が戦争で自分を見失った環境・ジョージア州サヴァンナという街をくすんだ色調で表現している。光が燦々と射し緑鮮やかなゴルフ場で希望を見出そうとする若者・ジュナ(M・デイモン)を優しく見守っている。それはあたかも彼が失っていたスイング(自分らしさ)の再発見の場でもあるのだ。バガー・ヴァンスとは謎のキャディで僅か5ドルでジュナの再起を助けてくれる伝説の人。だれにもこんなアドバイザーがいてくれたらと思わせるがW・スミスが独特の笑顔で静の演技をしている。M・デイモンもゴルフをしたことがないのに役が決まって特訓を受けサマになっていたが少し若すぎた。当初予定していたモーガン・フリーマン、ブラッド・ピットが年令・イメージともにぴったりだった。シャーリーズ・セロンは「モンスター」でオスカーを獲ったあとの作品なので本来の美形を活かしたリラックスした雰囲気。これ以上の役割期待は持てない感じ。
ゴルフをする人にとってアマチュアの神様でマスターズ創設者としても有名なボビー・ジョーンズと当時最強のプロゴルファーといわれたウォルター・へーゲンという実在の人物がプレイするだけでも興味深々。そのヒトトナリもイメージどおりで楽しめた。2人を演じたブルース・マックギリとジョエル・グリッジのスイングも本物で影の主役といっても良い。ゴルフというスポーツが如何に精神的な要素の影響が大きいかは言わずもがな。自分探しの旅に出た主人公は人生のグリップ(把握)を再確認できたことだろう。
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