素粒子
2006年/ドイツ
愛に悩む男を好演したM・ブライプトロイ
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 85点
ビジュアル 80点
音楽 80点
「セクシュアリティ」をテーマにした、映像化するには難しいと思われるミシェル・ウェルベックの原作を、オスカー・レーラー監督が映画化した問題作。なかなか将来性のある監督だ。
異父兄弟のブルーノ(モーリッツ・ブライプトロイ)とミヒャエル(クリスティアン・ウルメン)は母親(ニーナ・ホス)の影響で愛と性がトラウマとなっている。
ブルーノは国語教師で妻子がいながら、幼い頃の母親のヒッピー生活の影から逃れられず精神を病んでいる。妻に離婚され、ヒッピーのキャンプ場で知り合ったクリスチアーネ(マルチナ・ゲテック)と出会い、初めて性と愛が一致することを知る。
ミヒャエルは生物学者で母親が反面教師となり幼馴染みアナベル(フランカ・ポンテ)の愛も遠ざけてしまう。
対照的な2人だが、現代の男は極端ではないけれど思い当たるフシがあるのでは?
そして2人が幸せを掴みかけた途端、それぞれ皮肉な一波乱があって、人生は絵に描いたような幸せを得ることはないと思わせる。心の安らぎを得る大きな要因に、「愛する人と暮らすこと」という平凡な結末を暗示しているラスト・シーンに少し安堵する。同時に今後人間はクローン人間と私生児しか生まれないのでは?という不安もまんざら冗談では済まされない。
M・ブライプトロイが屈折した愛に悩む男を好演している。「マーサの幸せレシピ」「善き人のためのソナタ」のマルチナ・ゲテックが複雑な中年女を見事に演じていて、内面の演技の確かさを見る思い。
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