晴れ、ときどき映画三昧

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「マイ・ブラザー」(09・米) 70点

2015-03-07 08:09:40 | (米国) 2000~09 

 ・ ハリウッドのリメイク版は、米国らしい<家族愛がテーマ>。 

                    

 デンマークの女流監督、スザンネ・ビアの「ある愛の風景」(04)のリメイクで、ジム・シェリダン監督によってハリウッドで5年振りに蘇った。海兵隊大尉サム・ケイヒル(トビー・マグワイヤ)一家の物語。

 銀行強盗の刑務を終えた弟トミー(ジェイク・ギレンホール)が出所、兄サムが出迎え再会する。一家の父ハンク(サム・シェパード)はベトナム帰還兵で、トミーに辛く当たる。

 一家の中心的存在のサムには美しい妻グレース(ナタリー・ポートマン)と幼い姉妹がいてアメリカの典型的な家族構成だが、サムにアフガニスタン出動命令が入り弟に後を託し出征して行く。

 デンマーク版は3人の複雑な人間関係を掘り下げるために不在中の弟トミーとグレースがドンドン接近して行く様子が中心となって物語が進んで行くが、米国版はサムが戦地で何があったかが明かされる。サムが何故別人のようになってしまったかが説得力ある半面、その変貌ぶりに驚きは感じない。

 T・マグワイヤは9キロも減量して風貌まで変わった緊迫感の漂う熱演だったが、死の淵をさ迷ったため出征前との違いが当然と思われた分、損な役割となってしまった。

 N・ポートマンは最初は嫌っていた義弟を何となく頼りにする微妙な女心を巧みに演じて、オリジナルのコニー・ニールセンと甲乙つけがたいが、メインの扱いではない感じも・・・。

 J・ギレンホールは繊細で優しい持ち味を発揮していたが、もともと善良そうで前科者には見えなかった。

 J・シェリダンは、「イン・アメリカ/三つの小さな願いごと」(02)でも魅せたように子役の使い方が上手い監督で、ここでも姉・イザベルの少女らしい複雑な愛情表現、妹・マギーの天真爛漫な姿をごく自然に演出して、この物語をとてもドラマチックに盛り立てている。

 とくに姉を演じたベイリー・マディソンの台詞は、このドラマのクライマックスだけにとても重みがあった。いつも思うことだが、ハリウッドの子役達は大人顔負けで演技がとても上手。

 エンディングに物足りなさが残ったものの、オリジナルとは違う世界のリーダーでありたいと願う米国が抱える悩みを背景にした<家族愛がテーマ>の104分を楽しんだ。


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