突然炎のごとく
1962年/フランス
色褪せないトリュフォーの長編3作目
shinakamさん
男性
総合 80点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 80点
ビジュアル 85点
音楽 80点
映画評論家だったトリュフォーが本作を作りたいために監督になったというほど思い入れのあった長編3作目で彼の代表作といってよい。
オーストリア生まれのジュールとフランス人のジムはモンパルナスで暮らす親友。アドレア海にある彫刻像に良く似た女性カトリーヌに出会う。
ナレーションでテンポ良く進むストーリーは映像美に溢れ、2人を翻弄する奔放な女性カトリーヌの女王のような振る舞いが3人のこれからを暗示するよう。
ヌーヴェル映画の代表作でもある本作は従来の映画における常識を覆すストーリーと映像といわれ世界中の映画界に衝撃を与えている。この作品がなかったらアメリカン・ニューシネマの「明日に向かって撃て!」も生まれなかっただろう。男2人が親友で女一人の構成や自転車のシーン、挿入歌など似た部分も多い。何よりラウル・クタールの映像によるアイリス・ショットやストップ・モーションは当時とても斬新だった。
原題は主人公2人「ジュールとジム」だが邦題もヒロイン・カトリーヌを表現していて言い得て妙。
扮したジャンヌ・モローはこの作品で忘れられない女優となった。男装したり、セーヌ川に飛び込んだり、冷たい表情が一変して豊かに豹変したりファムファタルぶりは女そのものを体現している。まさにジュール(オスカー・ウェルナー)がいう「彼女は美しくない。聡明で誠実でもない。だが女そのものだ。」にぴったり。ジム(アンリ・セール)は女性経験も豊富でジュールほど一途ではないが、婚約者がいながらカトリーヌを忘れることができない。2人は男の代表的な象徴でもある。
第一次大戦後3人が一緒に住む山荘は、不安定な関係でありながら友情と愛情が一瞬均衡が保てた幸せの絶頂だったのかもしれない。
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