・皮肉な人生の結末を俯瞰で捉えた佳作。
「チョコレート」のジョエル・コーエン監督・脚本、イーサン・コーエン製作・脚本によるコンビが、何とも皮肉な人生を送った男を独自の世界で描いている。カンヌ国際映画祭監督賞・受賞作品。
「チョコレート」に続きビリー・ボブ・ソーントンが得意の斜めに曲がった無口な男を演じている。
リジャー・ディーキンスの撮影が凝っていて、カラーで撮影した映像をモノクロ・ネガに焼き直し。そのため、顔の影がとっても柔らかく、絶えず出てくる煙草の煙とともに効果的な映像となっている。
達者な脇役陣を起用して、妻のフランシス・マクドーマンド、不倫相手のジェームズ・ガンドルフィーニコを始め、おしゃべりな弟マイケル・バダルッコ、陪審員を説得するだけに躍起となる弁護士トニー・シャループなどこと欠かない。
いまやスターとなっているスカーレット・ヨハンセンもただの美少女ではない役柄なのも見逃せない。
主人公の何処か滑稽でいい加減なのに哀れな人生を、もうひとりの自分が俯瞰で観ている。それがこの映画の見所なのだろう。
イーサン兄弟らしい、ちょっぴり苦味の利いた人間描写を堪能した。
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