・女性の危うさと妖しさを見事に映像化。
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「博士の愛した数式」の小川洋子・原作を、デュアーヌ・ベルトランが監督、脚本も手がけ、若い女性が新しい世界へ踏み入れる危うさと妖しさを女性監督ならではの繊細さで幻想的に描いて行く。
21歳のイリス(オルガ・キュリレンコ)が飲料工場で薬指を損傷した不幸な出来事から、心身のバランスを崩してしまう。仕事を求め面会した不思議な標本技術士(マルク・バルベ)にドンドン惹かれるようになり、離れられなくなってゆく。
演じるO・キュリレンコはウクライナ出身のスーパー・モデルらしく、少女の面影を残しながら大人っぽい女の魅力を画面いっぱいに披露してくれる。
相手役のM・バルベも目力があって、どこか冷徹な影を感じる静の演技で好演している。
プレゼントされた靴が重要な小道具となって2人の関係を暗示していて、だんだん足に喰い込んで行くさまなど、キメ細かな演出も見事。
原作にはない港の風景やホテル、同宿の船員とのすれ違いなど、全てがイメージを膨らませてくれる。ただ、これも原作にはない標本室に出てくる少年がちょっと唐突な気がした。
ベス・ギボンズの音楽が、効果的で夢のような物語だった。