晴れ、ときどき映画三昧

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「ケープ・フィアー」(91・米 )70点

2018-05-09 12:20:28 | (米国) 1980~99 

・ デニーロの怪演で、恐怖より狂気を描いたスコセッシ演出によるサイコ・スリラー。




「タクシー・ドライバー」(76)以来の黄金コンビ、マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ主演の本作は、ジョン・D・マクドナルド原作で「恐怖の岬」(62)のリメイク。

ノースカロライナ州ローリー市を舞台に、刑期を終え出所したマックス・ケイティとその復讐相手である弁護士サム・ホーデン一家を描いたサイコ・スリラー。

マックスは14年前に起こしたレイプ事件での国選弁護士サム・ボーデンの前に現れた。

このことを忘れていたサムは、レイプ事件を憎むあまり、女性の素性などを隠し単なる暴行として処理してケイティの弁護をまともにしていなかったことを思い出す。

マックスに扮したデニーロは役作りのため肉体改造し、2万ドルもかけ歯並びを変える役作りは有名なデニーロ・アプローチそのもの。

家の塀に腰かけたり、一家の愛犬を殺したり、サムの愛人を誘惑しケガをさせたり、ハイスクールの娘へアプローチしたり、サムを巡る周辺にジワジワと恐怖感をあおり、追い詰めて行く。

対するサムはとても人間的で、金で解決しようとしたり、妻に愛人問題で問い詰められたり、すべて後手に回ってしまう。

私立探偵を雇ってもケイティに見抜かれ、暴行教竣で告訴される始末・・・。

オリジナルのサムは品行方正で一家を愛する正義の弁護士なので共感できたが、ニック・ノルディが扮するリメイクは現実味があるとはいえとても共感できそうな人物には描かれていない。

しかしケイティに同情できるかというと、執拗に一家につきまとう狂気の沙汰は尋常ではない。

スコセッシはバイオレンスを過剰なまでに加味させ、法の網を掻い潜って悪事を働くものへの制裁はどうあるべきかを宗教的な味付けしているようだ。

ケイティは背中に十字架の天秤に聖書と剣のタトゥーを入れ「俺は神で、神は俺と同格だ」と私刑とキリスト教的倫理を訴えている。

そして「過去を引きずることは、毎日少しづつ死んでいくことだ。それよりも私は生きていきたい。」といって自分の行いを納得させている。

スコセッシはオリジナルへの敬意も忘れない。前作のバーナード・ハーマンの音楽をエルマー・バーンスタインがアレンジしてグレゴリー・ペック、ロバート・ミッチャム、マーティン・バルサムをカメオ出演させている。

見比べてみるとケイティ役のデ・ニーロとミッチャムによる復讐劇の競演ともいえる。






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