・ アーミッシュ文化の理解・交流を描いたヒューマン・サスペンス。
’84ペンシルバニア州ランカスター郡からボルチモアへ旅するアーミッシュの少年が、フィラデルフィア駅のトイレで殺人事件を偶然目撃してしまう。その母親と少年を守るため刑事が奮闘するヒューマン・ミステリー。
監督はピーター・ウィアーでウィリアム・ケリー、アール・W・ウォレスの脚本。丁寧なつくりと巧みな編集でオスカー脚本・編集賞受賞作品。
冒頭、雄大な大自然に黒ずくめの衣装で現れるアーミッシュの人々。モーリス・ジャールの清々しい音楽とジョン・シールの映像アングルが期待感を持たせる。
アーミッシュとはドイツ系移民の宗教集団で、17世紀の生活様式と自給自足の農耕・牧畜をしながら質素に暮らす。争いを禁じ、異教徒との恋愛・結婚はご法度である。
母親レイチェル(ケリー・マクギリス)は夫を亡くしボルチモアの親類を訪ねるつもりが、息子・サミュエルが事件の参考人として引き止められる。
可愛い瞳のサミュエル(ルーカス・ハース)がトイレの隙間から事件を目撃するシーンはナカナカの緊迫感。
殺人事件の担当ジョン・ブックは、自分だけが正義という性格の刑事。結婚に責任を感じ、いまだ独身である。演じたハリソン・フォードが適役で「スター・ウォーズ」「インディ・ジョーンズ」シリーズでマンネリ気味だったイメージを払拭した。
緊張感あふれるサスペンスから、負傷したジョンブックが二人を村へ送る展開から切ないラブ・ストーリーへ展開する。
サム・クックの<ワンダフル・ワールド>が流れるカーラジオでのダンス・シーンが「マジソン群の橋」のような印象的なシーン。
二人の関係は「シェーン」のようでもあり、高倉健と倍賞千恵子の「遥かなる山の呼び声」に似ている。
3回出てくる字幕「イギリス人には気を付けろ」はアーミッシュではない米国人のことで、「外の世界の人には気を付けろ」という意味。
現在社会が抱える異文化への理解・交流の大切さを思わせる秀逸な作品だと感じた。
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