バッファロー'66
1998年/アメリカ
V・ギャロのセンスを存分に発揮した
総合 85点
ストーリー 80点
キャスト 85点
演出 85点
ビジュアル 85点
音楽 85点
マルチ・アーティストのヴィンセント・ギャロが監督・主演・共同脚本・音楽を手掛けた異色のラヴ・ストーリー。
5年振りに出所して故郷のバッファローへ帰るビリー・ブラウン(V・ギャロ)。途中、実家へ電話するが、高級ホテルに泊まっているとか妻はファースト・クラスの飛行機で食べ過ぎたとかウソを重ねる。電話代を借りたダンス・スクール帰りのレイラ(クリスチナ・リッチ)を拉致し、両親(アンジェリカ・ヒューストン、ベン・キャザラ)の前で妻のふりをさせる。
あまり期待しないで観たが、思いのほか拾い物の映画。一見乱暴なストーリーで暗いハナシを想像させるが、ビリーの何処となく間が抜けていてナイーブな優しい<人となり>が見えてくると、女性はレイラでなくても母性本能をくすぐられ、守ってやりたい気分にさせられるのだろう。
彼の人格形成に欠かせない両親の特異性と無関心な様子の描き方が抜群のセンス。食卓でのカット割りはその象徴であろう。
随所で見せるV・ギャロの片鱗は、ボーリングや音楽で垣間見られるが何よりも素晴らしい映像美。最初の刑務所の遠景から只者ではないと思わせるカットである。
C・リッチは美人女優ではないが、芸域の広い女優で役作りにプロ魂を感じ、なかなかの好演。マドンナのレイラ(C・リッチ)は小柄で豊満な体で包容力がある。ビリーの片想い・ウエンディ(ロザンナ・アークェット)とは両極にあるタイプ。人生にケリをつけるために帰郷したビリーにはレイラが天使に見えたのだろう。
他人が信じられなくなったり、気持ちが落ち込んでしまったとき心を癒してくれる。
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